新規がんは世界で約2,000万例、日本で多いがん種との違いは?/WHO

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/02/09

 

 2024年2月1日、世界保健機関(WHO)のがんに特化した機関である国際がん研究機関(IARC)は、185ヵ国から収集したがん負担に関する最新の推計を発表した。それによると、2022年には全世界で新たに約2,000万例のがん患者が生じ、約970万例が死亡したと推定される。36のがん種のうち、世界で最も多く発症および死亡したのは肺がんで、日本で最も多く発症したのは大腸がん、最も多く死亡したのは肺がんであった。

<全世界>
 全世界では、2022年に新たに1,996万5,054例(男性:1,030万6,574例、女性:965万8,480例)ががんに罹患し、死亡は973万6,520例(男性:542万6,895例、女性:430万9,625例)と推定される。

 新規発症したがんは、全体では肺がんが最も多く(12.4%[248万308例])、乳がん(11.6%[230万8,931例])、大腸がん(9.6%[192万6,136例])、前立腺がん(7.3%[146万6,718例])、胃がん(4.9%[96万8,365例])と続いた。男女別では、男性では肺がん(15.3%)、前立腺がん(14.2%)、大腸がん(10.4%)、胃がん(6.1%)、肝がん(5.8%)が多く、女性では乳がん(23.8%)、肺がん(9.4%)、大腸がん(8.9%)、子宮がん(6.8%)、甲状腺がん(6.4%)が多かった。

 死亡が最も多かったのは、全体では肺がん(18.7%[181万7,131例])で、大腸がん(9.3%[90万3,853例])、肝がん(7.8%[75万7,906例])、乳がん(6.9%[66万9,418例])、胃がん(6.8%[65万9,805例])と続いた。男性では肺がん(22.7%)、肝がん(9.6%)、大腸がん(9.2%)、胃がん(7.9%)、前立腺がん(7.3%)の順に多く、女性では乳がん(15.4%)、肺がん(13.6%)、大腸がん(9.4%)、子宮がん(8.1%)、肝がん(5.5%)の順に多かった。

 なお、肺がんは、アジアにおけるタバコの習慣的な使用が関係している可能性が高いと推測されている。

<日本>
 日本では、2022年に新たに100万5,157例(男性:58万535例、女性:42万4,622例)ががんに罹患し、42万6,278例(男性:24万823例、女性:18万5,455例)が死亡したと推定される。

 新規発症したがんは、全体では大腸がん(14.5%[14万5,756例])、肺がん(13.6%[13万6,723例])、胃がん(12.6%[12万6,724例])、前立腺がん(10.4%[10万4,318例])、乳がん(9.1%[9万1,916例])の順に多かった。男女別では、男性では前立腺がん(18.0%[10万4,318例])が最も多く、肺がん(16.5%[9万5,740例])、胃がん(14.5%[8万4,071]、大腸がん(13.9%[8万435例])、肝がん(4.9%[2万8,678])と続いた。女性では乳がん(21.6%[9万1,916例])、大腸がん(15.4%[6万5,321例])、胃がん(10.0%[4万2,653例])、肺がん(9.7%[4万983例])、膵がん(5.7%[2万4,018例])の順に多かった。

 死亡が最も多かったのは、全体では肺がん(19.5%[8万3,243例])で、大腸がん(14.2%[6万473例])、胃がん(10.3%[4万3,807例])、膵がん(10.1%[4万3,265例])、肝がん(6.2%[2万6,420例])と続いた。男性では肺がん、大腸がん、胃がんが多く、女性では大腸がん、肺がん、膵がんが多かった。

 2050年には新たに3,500万例以上のがん患者が発生すると予測しており、これは2022年の推定2,000万例から77%の増加である。急速に増加する世界的ながん罹患は、人口の高齢化や増加、社会経済的発展に関連する危険因子(タバコ、アルコール、肥満、大気汚染など)への曝露の変化を反映しているとされる。

(ケアネット 森 幸子)