キノコと認知症リスク~日本での研究

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/13

 

 キノコは、食物繊維やいくつかの抗酸化物質が豊富な食材である。このようなキノコの食事摂取が認知症リスクの低下と関連しているかは、不明である。筑波大学の青木 鐘子氏らは、キノコ摂取と認知機能障害リスクとの関連を調査した。その結果、日本人女性において、キノコの食事摂取が認知機能障害リスクの低下と関連していることが示唆された。The British Journal of Nutrition誌オンライン版2024年1月19日号の報告。

 1985~99年に毎年実施されていた心血管リスク調査に参加した3つの地域に在住する40~64歳の地域住民3,750人を対象に、プロスペクティブ研究を実施した。認知症による障害が認められた事例を、1999~2020年に調査した。脳卒中の既往歴の有無にかかわらず、キノコの摂取量に応じた認知症発症数のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・3,739人を平均16.0年フォローアップ調査したところ、障害を伴う認知症を発症した人は670人であった。
・女性では、キノコの摂取と認知症リスクの逆相関が認められた。この関連は、脳卒中の既往歴のない認知症に限定されていた。
・女性における認知症発症の多変量HRは、キノコを摂取していなかった人と比較し、キノコの摂取量が0.1~14.9g/日で0.81(95%CI:0.62~1.06)、15.0g/日以上で0.56(0.42~0.75)であった(p for trend=0.003)。
・脳卒中の既往歴のない認知症におけるハザード比は、キノコの摂取量が0.1~14.9g/日で0.66(95%CI:0.47~0.93)、15.0g/日以上で0.55(0.38~0.79)であった(p for trend=0.01)。
・男性では、キノコの摂取と認知症リスクとの関連が認められなかった。

(鷹野 敦夫)