日本における小児に対する抗精神病薬処方の動向

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/20

 

 統合失調症は、幻覚・妄想やその他の症状を特徴とする精神疾患である。日本においても統合失調症の治療ガイドラインが確立されているが、小児患者に対する薬物療法は推奨されていない。さらに、小児統合失調症患者に対する抗精神病薬の処方傾向は、あまりよくわかっていない。東北医科薬科大学病院の菊池 大輔氏らは、2015~22年の日本における小児外来患者に対する抗精神病薬の処方動向を明らかにするため、本研究を実施した。その結果、日本では小児統合失調症に対して、主にアリピプラゾールとリスペリドンが処方されており、アリピプラゾールの処方割合が時間の経過とともに有意に増加していることを報告した。Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences誌2024年1月2日号の報告。

 対象は2015年1月1日~2022年12月31日に、急性期地域医療連携病院を受診した0~18歳の統合失調症患者。2023年11月時点での日本人小児外来患者の管理データを分析した。対象薬剤は、2022年12月時点に日本で発売されている統合失調症の適応を有する薬剤とした。期間中の抗精神病薬の年間処方傾向は、その割合に応じて算出した。各抗精神病薬の処方割合の評価には、Cochran-Armitageの傾向検定を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・小児統合失調症患者に対して主に処方されていた抗精神病薬は、アリピプラゾールとリスペリドンであった。
・男性患者では、アリピプラゾールの処方割合が21.5%(2015年)から35.9%(2022年)へ有意な増加が認められた(p<0.001)。一方、リスペリドンの処方割合は、47.9%(2015年)から36.7%(2022年)へ有意な減少が認められた(p<0.001)。
・女性患者においても、男性と同様に、アリピプラゾールの処方割合が21.6%(2015年)から35.6%(2022年)へ有意に増加し(p<0.001)、リスペリドンの処方割合は、38.6%(2015年)から24.8%(2022年)へ有意に減少していた(p<0.001)。

(鷹野 敦夫)