身体活動は心血管系および全死因死亡リスクを低下させるために広く推奨されているが、米国疾病予防管理センター(CDC)および米国心臓協会/米国心臓病学会が推奨する身体活動の基準を満たす米国人は全体の4分の1以下で、さらに女性は男性に比べ身体活動の実施量が少ない。では、身体活動による健康増進効果に性差はあるのか。中国・北京清華長庚医院のHongwei Ji氏らによる研究がJournal of the American College of Cardiology誌2024年2月27日号に掲載された。
研究者らは、CDCと国立保健統計センターの統計データを用いて、身体活動に関するデータを提供した米国成人41万2,413例(55%女性、年齢中央値44歳)を対象とした前向き研究を行った。1997~2019年の身体活動の指標(頻度、継続時間、強度、種類)と全死因死亡率および心血管疾患死亡率との多変量解析後の関連を、性別ごとに検討した。
主な結果は以下のとおり。
・女性の32.5%、男性の43.1%が定期的に有酸素運動を行っており、有酸素運動の主要な指標はすべて男性で有意に頻度が高かった。
・491万1,178人年の追跡期間中に、1万1,670例の心血管死を含む3万9,935例の全死因死亡があった。定期的な運動は運動不足と比較して、女性では24%(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.73~0.80)、男性では15%(HR:0.85、95%CI:0.82~0.89)の全死因死亡率の低下と関連していた(p<0.001)。
・男性は300分/週の中等度~強度の身体活動で最大生存ベネフィット(HR:0.81)に達したが、女性は140分/週で同様のベネフィットを達成し、その後も300分/週以上で最大生存ベネフィット(HR:0.76)に達した。
・性差に特異的な所見は、心血管疾患死に関しても同様であり(p<0.001)、有酸素運動および筋力強化活動のすべての指標において一貫していた(p=0.009)。
研究者らは、女性は男性に比べ、同量の余暇身体活動によって全死因死亡リスクおよび心血管疾患死亡リスクの低下においてより大きな利益を得ていた。これらの知見は、とくに女性に定期的な余暇身体活動への意欲を持たせ、運動参加の男女差を解消する努力を強化する可能性がある、としている。
(ケアネット 杉崎 真名)