若年死亡のリスクは、強度を問わず身体活動度が高いほど低く、また、座位時間が短いほど低いことが、ノルウェー・Norwegian School of Sport SciencesのUlf Ekelund氏らによるシステマティック・レビューとメタ解析で明らかにされた。いずれも、中高年成人では、非線形の用量反応の関連パターンが認められたという。身体活動度は、多くの慢性疾患や若年死亡と関連しており、座位時間が長いほどそのリスクが増す可能性を示すエビデンスが増えつつある。しかし、現行の身体活動ガイドラインは、妥当性に乏しい自己報告の試験に基づいているため、報告されている関連性の大きさは、過小評価されている可能性があり、また、用量反応の形状、特に軽強度身体活動は明らかになっていなかった。BMJ誌2019年8月21日号掲載の報告。
2018年7月までに公表の試験をレビューし解析
研究グループは、PubMed、PsycINFO、Embase、Web of Science、Sport Discusのデータベースを基に、2018年7月までに発表された試験について、システマティック・レビューとメタ解析を行った。対象は、身体活動度や座位時間について加速度測定法で評価し、全死因死亡率との関連を評価した前向きコホート試験で、ハザード比やオッズ比、相対リスクを95%信頼区間(CI)とともに求めたものとした。解析の手法は、システマティック・レビューとメタ解析に関するガイドラインや、PRISMAガイドラインにのっとった。執筆者2人がそれぞれタイトルと要約をスクリーニングし、1人が全文のレビューを、もう1人がデータを抽出した。バイアスリスクは2人がそれぞれ評価した。
参加者個人レベルのデータを、複数の補正後モデルを用いた試験で集約・解析した。身体活動のデータは4つに分類し、全死因死亡率(主要評価項目)との関連についてCox比例ハザード回帰分析を用いて解析。ランダム効果メタ解析により試験に特異的な結果を要約した。
軽強度身体活動でも、死亡率は約0.4倍まで低下
検索により全文レビューとなった39試験のうち、包含基準を満たしたのは10試験だった。うち3試験はデータの集約が困難(加速度計が手首タイプなど)のため、さらに1件は非参加のため除外された。代わりに、死亡率未公表のデータを含む2試験を包含し、計8試験の個人データを解析した。被験者総数は3万6,383例、平均年齢62.6歳、女性は72.8%だった。追跡期間の中央値は5.8年(範囲:3.0~14.5)で、死亡は2,149例(5.9%)だった。
身体活動はその強度にかかわらず死亡率の低下に関連しており、非線形用量反応が認められた。死亡に関するハザード比は、身体活動度の最も低い第1四分位群(参照群、1.00)に比べ、第2四分位群0.48(95%CI:0.43~0.54)、第3四分位群0.34(0.26~0.45)、身体活動度が最も高い第4四分位群は0.27(0.23~0.32)だった。
同様に軽強度身体活動では、第1四分位群に比べ、第2四分位群0.60(95%CI:0.54~0.68)、第3四分位群0.44(0.38~0.51)、第4四分位群0.38(0.28~0.51)だった。中強度~高強度身体活動では、それぞれ0.64(0.55~0.74)、0.55(0.40~0.74)、0.52(0.43~0.61)だった。
座位時間と死亡に関するハザード比についてみると、第1四分位群(参照群、1.00)に比べ、第2四分位群1.28(95%CI:1.09~1.51)、第3四分位群1.71(1.36~2.15)、第4四分位群2.63(1.94~3.56)だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)