85歳以上のアルツハイマー病患者の認知機能に関連する因子と脳画像の特徴

提供元:ケアネット

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公開日:2024/04/03

 

 85歳以上の超高齢者のアルツハイマー病における認知機能低下の根底にある病態生理学は、これまで明らかになっていない。総合東京病院 認知症疾患研究センターの羽生 春夫氏らは、超高齢者のアルツハイマー病における認知機能に関連する因子と脳画像の特徴を明らかにするため、本研究を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌2024年3月15日号の報告。

 対象は、アルツハイマー病の可能性のある連続した外来患者456例(男性:145例、女性:311例、年齢範囲:51~95歳)。対象者は、74歳以下、75~84歳、85歳以上のサブグループに分類した。人口統計学的要因(教育レベル、初診時の罹病罹患、BMI、併存疾患、フレイル、余暇活動など)、画像検査の特徴(内側側頭葉の萎縮、白質病変、梗塞の重症度、脳低灌流の頻度など)の違いをサブグループ間で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・85歳以上の群は、若年群と比較し、次の特徴が認められた。
 ●罹病期間が長い
 ●教育レベルが低い
 ●フレイルがより重症
 ●余暇活動が少ない
 ●認知機能障害の悪化
 ●認知機能低下の進行が遅い傾向
 ●内側側頭葉の萎縮がより大きい
 ●重度の白質高信号領域
 ●重度の梗塞
 ●脳低灌流の頻度が低い
・脳画像のサブタイプに関しては、85歳以上の群は、若年群と比較し、大脳辺縁系優位サブタイプの患者が有意に多く、海馬温存サブタイプの患者が少なかった。

 著者らは「85歳以上のアルツハイマー病患者は、より若年のアルツハイマー病患者と異なる特徴を示すことが明らかとなった。この結果は、アルツハイマー病の病態を理解し、臨床診断や適切なマネジメント方法を決定するうえで、有用であろう」としている。

(鷹野 敦夫)