統合失調症における安静状態と作業状態の機能的接続異常

統合失調症の主な病理学的仮説として、聴覚処理障害と大脳ネットワーク内の接続不全が挙げられる。しかし、多くの神経画像研究では、統合失調症患者の安静状態またはタスクに関連した機能接続障害に焦点が当てられている。九州大学の高井 善文氏らは、統合失調症患者の聴覚定常状態応答(ASSR)タスク中の血中酸素濃度依存性(BOLD)シグナル、安静状態およびASSRタスク中の機能的接続性、安静状態とASSRタスクの状態変化について、検討を行った。The European Journal of Neuroscience誌2024年4月号の報告。
対象は、統合失調症患者25例および健康対照者25例。スキャナーノイズによる機能への影響を軽減するため、安静状態およびスパースサンプリング聴覚fMRIパラダイムを採用した。聴覚刺激は、周波数20、30、40、80Hzのバイノーラルクリックトレインとした。検出されたASSR誘発性BOLDシグナルに基づき、安静状態とASSRタスク状態における視床と両側聴覚皮質の機能接続およびそれらの変化を調査した。
主な結果は以下のとおり。
・統合失調症患者では、80HzでASSRタスク中に視床および両側聴覚皮質でBOLDシグナルの有意な減少が認められた(補正済みp<0.05)。
・統合失調症患者の視床聴覚ネットワーク内の機能的接続の変化において、安静状態とASSRタスク状態とでは、有意な逆相関が認められた。
・統合失調症患者では、安静状態の機能接続性がより強く(p<0.004)、ASSRタスク中の機能的接続性の低下が認められ(p=0.048)、これは異常な状態変化により媒介されることが示唆された。
著者らは、「統合失調症患者における安静状態と作業状態との移行の欠陥に関連する異常な視床皮質接続の存在が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)
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