高プロラクチン血症は、精神疾患患者における一般的な抗精神病薬誘発性の有害事象の1つであり、最適な治療法に関する臨床研究の質には、ばらつきがある。中国・首都医科大学のQitong Jiang氏らは、現在の臨床エビデンスを適切にサマライズするため、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症に関する研究のシステマティックレビューおよびメタ解析の包括的レビューを実施した。Frontiers in Psychiatry誌2024年3月5日号の報告。
対象基準を満たすレビューおよびメタ解析をPubMed、Cochrane Library、PsycINFO、Scopus、EMBASEより検索した。関連データを抽出し、含まれるすべてのメタ解析を包括的にレビューした。メタ解析の品質は、PRISMAスコアおよびAMSTAR 2品質評価を用いて評価された。最後に、最適な治療法に関する臨床エビデンスを要約し、ディスカッションを実施した。
主な結果は以下のとおり。
・包括的レビューの要件を満たしたメタ解析は、2013~20年の間で5件抽出された。
・含まれているメタ解析のPRISMAスコアは、19.5~26の範囲であった。
・AMSTAR2品質評価では、5件のうち2件は低品質、3件は非常に低品質であった。
・アリピプラゾールまたはドパミンアゴニストを追加すると、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症に対し効果的かつ安全に使用できることが、含まれているメタ解析の臨床エビデンスより得られた。
・2つのメタ解析において、メトホルミンの補助療法が血清プロラクチン値を低下させる可能性が示唆されたが、本知見を確認するためにはさらなる臨床試験が求められる。
著者らは「ドパミンアゴニストの補助療法は、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の治療に有効かつ安全であることが示唆された。なかでも、アリピプラゾールを追加することが最も適切である可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)