医師の性別と患者の性別の組み合わせによって臨床転帰は異なるのだろうか。東京大学の宮脇 敦士氏らが、米国で内科的疾患で入院した患者を男女に分け、医師の性別と臨床転帰の関連を調べたところ、女性医師による治療のほうが死亡率および再入院率が低く、女性医師による治療のベネフィットは男性患者よりも女性患者で大きいことが示唆された。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2024年4月23日号に掲載。
本研究は、米国で2016~19年に入院し、病院総合診療医の治療を受けたメディケア有料サービス受給者から無作為に抽出したサンプルを用いた後ろ向き観察研究で、主要評価項目は30日死亡率および再入院率とした。
主な結果は以下のとおり。
・女性患者45万8,108例中14万2,465例(31.1%)、男性患者31万8,819例中9万7,500例(30.6%)が女性医師による治療を受けていた。
・女性患者も男性患者も、女性医師による治療を受けた患者のほうが死亡率が低かった。
・女性医師による治療を受けることのベネフィットは、男性患者より女性患者が大きかった(差分の差分:-0.16パーセントポイント[pp]、95%信頼区間[CI]:-0.42~0.10pp)。
・女性患者では、女性医師と男性医師による差は大きく、臨床的に意味のあるものだった(調整死亡率:8.15% vs.8.38%、平均限界効果[AME]:-0.24pp、95%CI:-0.41~-0.07pp)。
・男性患者では、女性医師と男性医師の差はなく(10.15% vs.10.23%、AME:-0.08pp、95%CI:-0.29~0.14pp)、再入院率についても同様だった。
著者らは本研究の限界として、若年集団には本結果を一般化できない可能性を挙げている。
(ケアネット 金沢 浩子)