BiTE抗体tarlatamab、進行・再発の進展型小細胞肺がんに申請/アムジェン

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/05/21

 

 アムジェンはデルタ様リガンド3(DLL3)を標的とするBiTE(二重特異性T細胞誘導)抗体tarlatamabについて、進行・再発の進展型小細胞肺癌(ED-SCLC)を予定の効能又は効果として、日本国内で製造販売承認申請を行った。

 小細胞肺がん(SCLC)は肺がんの約15%を占め、世界で毎年33万例超が新規に診断されている。SCLCは最も悪性度が高い固形がんの1つで、増殖速度が非常に早く早期に転移する。5年相対生存率(全Stage)は10%未満と予後不良である。ED-SCLCに対する現行の1次治療の奏効率は60〜70%と比較的良好だが、ほとんどの症例で治療耐性が生じ、治療後1年以内に再発を認める。

 DLL3は85〜96%のSCLCの腫瘍細胞表面に発現する一方、正常細胞での発現はごくわずかであることから、SCLCに対する有望な治療標的とされている。tarlatamabはT細胞上のCD3とSCLC細胞上のDLL3に結合する新規のBiTE抗体であり、T細胞をSCLC細胞に誘導してがん細胞を溶解する。

 tarlatamabの申請は、プラチナ併用化学療法後の進行・再発のED-SCLCを対象にした第II相国際多施設共同非盲検DeLLphi-301試験から得られた結果に基づき行ったもの。DeLLphi-301試験では、2ライン以上の前治療が無効であった進行SCLC患者に対して40%の奏効率を示した。主な治験関連有害事象はサイトカイン放出症候群(52〜55%)、発熱(31〜37%)および味覚異常(22〜26%)で、有害事象による投与中止は3〜4%に認められた。

 tarlatamabは、2023年12月に米国食品医薬品局(FDA)の優先審査(Priority Review)に指定され、2024年2月9日に厚生労働省から希少疾病用医薬品の指定を受けている。

(ケアネット 細田 雅之)

参考文献・参考サイトはこちら