トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)治療歴のあるHER2+の切除不能または転移を有する乳がん患者に対する、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択の化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast02試験の全生存期間(OS)を含む最新の解析結果を、韓国・Asan Medical CenterのSung-Bae Kim氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。
DESTINY-Breast02試験の一次解析(データカットオフ:2022年6月30日)において、T-DXd群(3週間間隔で5.4mg/kg、406例)では、TPC群(トラスツズマブ+カペシタビンまたはラパチニブ+カペシタビン、202例)と比較して、無増悪生存期間(PFS)およびOSを統計学的に有意に改善した。今回の発表では、2023年9月29日をデータカットオフ日とする追跡期間中央値26.8ヵ月における最新の有効性と安全性の結果が報告された。
主な結果は以下のとおり。
・今回のデータカットオフ時点の追跡期間中央値は、T-DXd群30.2ヵ月(範囲:0.8~60.7)、TPC群20.5ヵ月(0.0~60.6)であった。
・OS中央値は、T-DXd群35.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:30.9~40.8)、TPC群25.0ヵ月(20.4~31.5)で、ハザード比(HR)は0.69(0.55~0.88)であった。24ヵ月OS率はそれぞれ64.6%(59.6~69.2)および51.9%(44.4~58.9)、36ヵ月OS率はそれぞれ49.2%(44.0~54.3)および36.6%(29.5~43.8)であった。
・治験医師判定によるPFS中央値は、T-DXd群16.7ヵ月(95%CI:14.7~19.6)、TPC群5.5ヵ月(4.4~6.8)で、HRは0.30(0.24~0.37)であった。
・治験医師判定による奏効率(ORR)は、T-DXd群74.1%(CRは8.6%)、TPC群27.2%(2.0%)であった。奏効期間中央値はそれぞれ19.1ヵ月(95%CI:15.2~25.1)、6.3ヵ月(5.1~8.1)であった。
・治療関連有害事象(TRAE)はT-DXd群99.8%(うちGrade3以上が55.4%)、TPC群94.9%(44.6%)に発現した。T-DXd群の主なTRAEは、悪心(72.5%)、倦怠感(62.4%)、嘔吐(38.1%)であった。
・T-DXdによる薬剤性間質性肺疾患/肺臓炎は404例中46例(11.4%)に発現し、一次解析のデータカットオフ以降の発現は4例(Grade1が2例、Grade2が2例)であった。
(ケアネット 森 幸子)