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日本における統合失調症に対する薬物療法の変化~クロザピン導入前後12年間の調査

提供元:ケアネット

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公開日:2024/05/22

 

 日本における統合失調症に対する精神科薬物療法は、多剤併用療法が行われてきた長い歴史がある。これは、世界的にまれではあるが、依然として重大な問題である。その理由の1つとして、日本では2009年までクロザピンが使用できなかったことが挙げられる。岡山県精神科医療センターの北川 航平氏らは、統合失調症に対する薬物療法がクロザピン導入により、どのように変化したのかを明らかにするため、クロザピン導入前後の12年間にわたる統合失調症に対する精神科薬物療法の変化を調査した。Asian Journal of Psychiatry誌2024年6月号の報告。

 岡山県精神科医療センターで統合失調症と診断された入院患者のカルテからレトロスペクティブにデータを収集した。

 主な結果は以下のとおり。

・抗精神病薬の投与量は、クロルプロマジン換算で2009年の1276.6mg/日から2020年の613.9mg/日へ減少が認められた。
・1日投与量/規定1日投与量(PDD/DDD)は、2009年の3.0から2020年の1.2へ減少していた。
・単剤療法の割合は、2009年の24.4%から2020年の74.6%へ増加していた。
・岡山精神科医療センターでは、2010年からクロザピンが導入されており、2020年までにクロザピン使用率は、37.3%まで増加が認められた。
・4種類以上の抗精神病薬の使用率は、2009年の27.8%から2020年の0.8%へ減少していた。

 著者らは、「クロザピン使用率の増加は、抗精神病薬単剤療法を増加させ、多剤併用の改善に寄与しており、統合失調症に対する薬物療法の最適化の促進につながっていた。治療抵抗性統合失調症に対する多剤併用療法をできるだけ少なくするために、日本におけるクロザピン処方をさらに推進すべきである」としている。

(鷹野 敦夫)