低・中・高所得国を含む5大陸20ヵ国で実施された前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)研究」の結果、グリセミック指数(GI)およびグリセミック負荷(GL)が高い食事の摂取が、2型糖尿病の発症リスクの増大と関連していたことを、カナダ・McMaster UniversityのVictoria Miller氏らが明らかにした。Lancet Diabetes & Endocrinology誌2024年5月号掲載の報告。
これまでの研究で、低GI/GL食が2型糖尿病患者のHbA1c低下をもたらしたことが報告されている1)。しかし、2型糖尿病の発症率との関連についてはいまだ議論の余地がある。そこで研究グループは、GIおよびGLと2型糖尿病発症との関連を評価するため、低・中・高所得国20ヵ国の成人を対象とするPURE研究のデータを分析した。解析には、35~70歳の12万7,594人が含まれ、追跡期間中央値は11.8年(IQR 9.0~13.0)であった。
食事摂取量は、その国ごとで検証済みの食品摂取頻度調査票を用いて算出した。7種類の炭水化物の摂取量に基づいてGIおよびGLを推定し、五分位で分類した。主要アウトカムは2型糖尿病の発症で、GIおよびGLとの関連について多変量Cox frailtyモデルを用いてハザード比(HR)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中に、7,326例(5.7%)が2型糖尿病を発症した。
・多変量調整後、GIが最も高い群は、最も低い群と比較して、2型糖尿病の発症リスクが有意に高かった(HR:1.15、95%信頼区間[CI]:1.03~1.29)。
・GLが最も高い群でも、最も低い群と比較して、2型糖尿病の発症リスクが有意に高かった(HR:1.21、95%CI:1.06~1.37)。
・GIと糖尿病との関連は、BMIが高い群のほうが低い群よりも強かった。
研究グループは「これらの研究結果は、低GIと低GLの食事を摂取することで2型糖尿病の発症を防ぐ可能性があることを示唆している」とまとめた。
(ケアネット 森 幸子)