お知らせがあります

2024/06/27
7月10日より「Web講演会」「CARENQ」の送信元メールアドレスを変更いたします。
■変更前:seminar@carenet.co.jp、enquete@carenet.co.jp
■変更後:seminar@www.carenet.com、enquete@www.carenet.com
メールアドレスまたはドメインによる受信拒否や振り分けなどを設定されている方は、設定の変更をお願いいたします。

未治療HER2+進行乳がん、T-DXd±ペルツズマブの12ヵ月PFS率(DESTINY-Breast07)/ASCO2024

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/06/11

 

 HER2+(IHC 3+またはIHC 2+/ISH+)の進行・転移乳がんの1次療法として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)単独療法とT-DXd+ペルツズマブ併用療法の有用性を検討した第Ib/II相DESTINY-Breast07試験の中間解析の結果、両群ともに12ヵ月無増悪生存(PFS)率は80%以上であり、薬剤性間質性肺疾患(ILD)による死亡は認められなかったことを、フランス・Gustave RoussyのFabrice Andre氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 DESTINY-Breast07試験は、HER2+の進行・転移乳がん患者を対象に、T-DXd単独または他の抗がん剤との併用による安全性、忍容性および抗腫瘍活性を検討する国際共同無作為化非盲検第Ib/II相試験。用量漸増パートと用量拡大パートで構成され、今回は1次療法としてのT-DXd±ペルツズマブを評価した用量拡大パートの中間解析の結果が報告された。

 対象は、術後補助療法から12ヵ月以上の無病期間があり、測定可能な病変があり、脳転移がない/または既治療で安定状態で、進行・転移に対する治療を受けていないHER2+の進行・転移乳がん患者であった。T-DXd単独群(5.4mg/kgを3週間間隔)とT-DXd+ペルツズマブ併用群(T-DXd:5.4mg/kg+ペルツズマブ:初回840mg、2回目以降420mgを3週間間隔)に無作為化された。主要評価項目は安全性と忍容性、主要副次評価項目は、治験責任医師評価による奏効率(ORR)およびPFS、奏効期間(DOR)であった。

 主な結果は以下のとおり。

・T-DXd単独群75例、T-DXd+ペルツズマブ併用群50例が治療を受けた。両群の患者プロファイルはおおむねバランスがとれていたが、HR+(62.7%および68.0%)、de novo(64.0%および60.0%)の割合で差がみられた。追跡期間中央値はそれぞれ23.9ヵ月(治療継続中が62.7%)、25.3ヵ月(56.0%)であった(データカットオフ:2023年12月22日)。
・12ヵ月PFS率は、単独群80.8%(80%信頼区間[CI]:73.7~86.1)、併用群89.4%(81.9~93.9)であった。
・ORRは、単独群76.0%(80%CI:68.5~82.4)、併用群84.0%(75.3~90.5)であった。CRはそれぞれ8.0%、20.0%であった。
・DOR中央値は両群とも評価不能(NE)であったが、範囲は単独群2.1~28.5ヵ月、併用群4.5~28.3ヵ月であった。12ヵ月DOR率はそれぞれ76.0%、84.0%であった。
・有害事象(AE)は両群ともに100%に発現した。Grade3以上のAEの発現率は、単独群52.0%、併用群62.0%であった。単独群では、治療に関連しない死亡が1例報告された(新型コロナウイルス感染症の罹患後症状)。
・頻度の高いAEは、悪心(単独群71%[うちGrade3以上が4%]、併用群68%[0%])、好中球減少症(36%[27%]、38%[24%])、嘔吐(36%[3%]、40%[0%])、下痢(35%[3%]、62%[6%])などであった。ILDは、それぞれ9.3%、14.0%に認められたが、死亡例は認められなかった。新たな安全性シグナルはみられなかった。

 DESTINY-Breast07試験は進行中であり、第III相DESTINY-Breast09試験の解析結果により、HER2+の進行・転移乳がんの1治療法としてのT-DXd±ペルツズマブに関する確定的なデータが得られる予定。

(ケアネット 森 幸子)

参考文献・参考サイトはこちら