富士通クリニックの五十嵐 久佳氏らは、頭痛で医療機関を受診した患者と受診しなかった患者の特徴を明らかにするため、観察研究を実施した。BMJ Open誌2024年4月29日号の報告。
横断的なオンライン調査および医療請求データを用いて、観察研究を実施した。オンライン調査は、2020年11月に自己記入式アンケートで実施し、2017年12月〜2020年11月の医療請求データは、DeSCヘルスケアより提供された。性別と年齢が請求データと一致した19〜74歳の回答者2万1,480人のうち、頭痛を経験した人は7,311人であった。アウトカムは、参加者の特徴、医療機関の受診状況、薬物療法、片頭痛のQOLアンケート(MSQ)Ver.2.1より測定したQOL、頭痛重症度とした。
主な結果は以下のとおり。
・頭痛を経験した7,311人のうち、医療機関を受診した人は735人、6,576人は受診しなかった。
・医療機関を受診した人は、受診しなかった人と比較し、次の特徴が認められた。
●頭痛頻度が高い(頭痛頻度中央値:3ヵ月当たり10日vs.5日)
●MSQスコアが低い(MSQスコア平均値:77.1±18.1 vs.87.6±13.0)
●薬物治療なしでは頭痛重症度の中〜重度が多い(41.2%[735人中303人]vs.19.0%[6,576人中1,252人])
・医師の診察を求める最も一般的な理由は、頭痛に耐えられないためであった(36.5%[735人中268人])。
・痛みがひどくなかったため、医師の診察を受けなかった人は、35.3%(6,576人中2,323人)であった。
・1ヵ月当たり15日以上頭痛を経験した人は、どの病院、あるいはどの診療科を受診すべきかを迷っていた。
著者らは「患者は、痛みに耐えられない場合に助けを求めるが、1ヵ月当たり15日以上の頭痛を経験してもなお、診察を受けなかった人も存在する。そのため、症状やそれに伴う負担が増大し、効果的な頭痛のマネジメントができなくなる前に、意識を高めて早期の医療機関の受診を推奨することが重要である」としている。
(鷹野 敦夫)