両側乳房切除と乳がん死亡率/JAMA Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2024/08/01

 

 片側乳がん患者に対する両側乳房切除の乳がん死亡率におけるベネフィットは示されていない。今回、カナダ・Women's College HospitalのVasily Giannakeas氏らによるコホート研究において、両側乳房切除で対側乳がんリスクは有意に低下したが乳がん死亡率は低下しなかったことが報告された。JAMA Oncology誌オンライン版2024年7月25日号に掲載。

 このコホート研究では、SEERプログラムの登録データベースから、2000~19年に診断されたStage0~III片側乳がん(浸潤性乳がんおよび非浸潤性乳がん)の女性を同定し、手術の種類(乳房部分切除、片側乳房切除、両側乳房切除)によりマッチングを行い、対側乳がんおよび乳がん死亡率を20年間追跡した。

 主な結果は以下のとおり。

・研究サンプルは、片側乳がん女性66万1,270例(平均年齢:58.7歳)で、マッチング後、3つの治療群はそれぞれ3万6,028例であった。
・20年間の追跡期間中、対側乳がんが認められたのは乳房部分切除群で766例、片側乳房切除群で728例、両側乳房切除群で97例だった。20年対側乳がんリスクは、乳房部分切除群・片側乳房切除群で6.9%(95%信頼区間[CI]:6.1~7.9)であった。
・累積乳がん死亡率は、対側乳がん発症後15年で32.1%、対側乳がんを発症しなかった患者では14.5%であった(ハザード比:4.00、95%CI:3.52~4.54)。
・乳がん死亡は、乳房部分切除群で3,077例(8.54%)、片側乳房切除群で3,269例(9.07%)、両側乳房切除群で3,062例(8.50%)であった。

 この研究は、対側乳がんを発症すると乳がん死亡リスクが大幅に増加することを示している。一方、両側乳房切除を受けた患者は対側乳がんのリスクが大幅に減少したが、乳房部分切除または片側乳房切除を受けた患者と乳がん死亡率が同程度だった。

(ケアネット 金沢 浩子)