マイナ保険証にまだ不安があると回答した人は約半数/アイスタット

提供元:ケアネット

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公開日:2024/08/29

 

 マイナンバーカード(マイナカード)の活用場面が日々拡大している。最近では、役所の窓口だけでなく、医療機関や薬局でも健康保険証とマイナカードが一体化された「マイナ保険証」の利用も増えている。とくにマイナ保険証では、所持者の同意があれば診療・薬剤情報が提供されることもあり、今後、全国のどこの医療機関であってもそれらを基に正確な診療ができ、医療費控除の簡便化ができるなどのメリットが期待されている。その一方で、個人情報の流出や情報の悪用、デジタル機器の操作に慣れていない高齢者への対策など課題もある。

 そこでアイスタットは、「マイナ保険証に関するアンケート」を8月に行った。

調査概要

形式:Webアンケート形式
調査期間:2024年8月6日
回答者:セルフ型アンケートツールFreeasyに登録している20~69歳の有職者の会員300人

アンケート概要

・今までにマイナ保険証を利用したことがある人は24.3%。「20代」「男性」で多い
・次に医療機関・薬局へ行くとき、マイナ保険証を利用したいと思っている人は28.3%
・定期的に医療機関・薬局にかかっている人はマイナ保険証の利用意向が高い
・マイナ保険証のメリットを理解している人は31.3%
・すでに開始しているマイナ保険証について賛成の人は28.3%
・2024年12月2日からの健康保険証が新規発行されなくなる制度に賛成の人は26.3%
・医療機関・薬局でのマイナ保険証の操作が簡単または簡単そうにみえると思う人は30.3%
・マイナ保険証で個人情報の洩れや悪用されるといった不安がある人は85.0%
・マイナンバーカードを常に持ち歩いている人は35.0%
・医療機関・薬局にかかるとき、マイナンバーカードを用意するのが面倒な人は73.0%
・マイナ保険証の利用者増加のためには、医療機関・薬局でのマイナ保険証の操作・手続きは「簡単だ」または「簡単そうにみえる」と思わせること

マイナ保険証の携帯率は約35%

 質問1で「マイナ保険証を利用したことがあるか」(単回答)を聞いたところ、「マイナンバーカードを所有しているが1度も利用したことがない」は45.0%、「マイナ保険証を1回以上利用したことがある」が24.3%、「マイナ保険証を作っていないので利用したことがない」が18.7%であった。属性別では、「利用あり」と回答した人は「20代」「男性」「関東地方」に多かった。

 質問2で「次回、医療機関・薬局へ行くときはマイナ保険証を利用するか」(単回答)を聞いたところ、「そうは思わない(利用しない)」が37.0%、「どちらともいえない(わからない)」が34.7%、「そう思う(利用する)」が28.3%で、積極的な活用にはまだまだ時間を要することがうかがえた。属性別では、「そう思う(利用する)」と回答した人は「30代」「男性」に多かった。

 質問3で「定期的に医療機関・薬局にかかっているか」(単回答)を聞いたところ、「そう思う(通っている)」が40.7%、「そうは思わない(通っていない)」が33.0%、「どちらともいえない(わからない)」が26.3%であった。属性別では、「そう思う(通っている)」と回答した人は「50・60代」「女性」に多く、一般的な医療機関への受診動向と一致していた。

 質問4で「マイナ保険証のメリット(過去の個人データに基づく医療や医療費控除の簡便化など)を理解しているか」(単回答)を聞いたところ、「どちらともいえない(わからない)」が36.7%と一番多く、「そうは思わない(理解していない)」が32.0%、「そう思う(理解している)」が31.3%とほぼ同率の回答結果だった。属性別では、「そう思う(理解している)」と回答した人は「30代」「男性」に多かった。

 質問5で「すでに開始しているマイナ保険証について賛成であるか」(単回答)を聞いたところ、「どちらともいえない(わからない)」が38.3%、「そうは思わない(賛成ではない)」が33.3%、「そう思う(賛成である)」が28.3%と多かった。属性別では、「そう思う(賛成である)」と回答した人は「40代」「男性」に多く、「そうは思わない(賛成ではない)」と回答した人は「50代」「女性」に多かった。

 質問6で「2024年12月2日から現行の健康保険証は新規発行されなくなる制度に賛成であるか」(単回答)を聞いたところ、「どちらともいえない(わからない)」が38.3%、「そうは思わない(賛成ではない)」が35.3%、「そう思う(賛成である)」が26.3%と多かった。属性別では、「そう思う(賛成である)」と回答した人は「30代」「男性」に多く、「そうは思わない(賛成ではない)」と回答した人はこの質問でも「50代」「女性」に多かった。

 質問7で「医療機関・薬局でのマイナ保険証の操作・手続きは『簡単だ』または『簡単そうにみえる』か」(単回答)を聞いたところ、「そうは思わない」が35.3%、「どちらともいえない」が34.3%、「そう思う」が30.3%と多かった。属性別では、「そう思う」を回答した人はこの質問でも「30代」「男性」に多く、「そうは思わない」を回答した人はこの質問でも「50代」「女性」に多かった。デジタル機器の操作に慣れているかどうかにより回答がわかれたと思われる。

 質問8で「マイナ保険証は、個人情報の洩れや悪用されるのではないかといった不安を生じないか」(単回答)を聞いたところ、「そう思わない(不安である)」が49.3%、「どちらともいえない(わからない)」が35.7%、「そう思う(不安はない)」が15.0%と多かった。属性別では、「そう思う(不安はない)」と回答した人は「50代」「男性」に多く、「そうは思わない(不安である)」と回答した人は「60代」「女性」に多かった。

 質問9で「マイナンバーカードを常に持ち歩いているか」(単回答)を聞いたところ、「そう思わない(携帯していない)」が49.3%、「そう思う(携帯している)」が35.0%、「どちらともいえない(わからない)」が15.7%と多かった。属性別では、「そう思う(携帯している)」と回答した人は「30代」「男性」に多く、「そうは思わない(携帯していない)」と回答した人は「50代」「女性」に多かった。

 質問10で「医療機関・薬局にかかるとき、マイナンバーカードを用意するのは面倒でない」(単回答)を聞いたところ、「そう思わない(面倒である)」が39.0%、「どちらともいえない(わからない)」が34.0%、「そう思う(面倒ではない)」が27.0%と多かった。属性別では、「そう思う(面倒ではない)」と回答した人は「40代」「男性」に多く、「そうは思わない(面倒である)」と回答した人は「60代」「女性」に多かった。

 今後の普及の取り組みとしては、マイナ保険証使用時の使いやすさや利便性の啓発がさらに必要とされる結果だった。

(ケアネット 稲川 進)