双極症(BD)は、生涯を通じた性機能低下などのいくつかの課題を伴う慢性的な精神疾患である。BD患者において、QOL、機能性、服薬順守は重要であるにもかかわらず、これまであまり調査されていなかった。ブラジル・バイーア連邦大学のJuliana Socorro Casqueiro氏らは、寛解期の双極症I型(BD-I)患者の性機能について、健康対照群と比較を行い、BD-I患者の性機能に関連する臨床的および社会人口統計学的特徴を調査した。また、性機能障害の有無によるQOLへの影響も併せて調査した。Trends in Psychiatry and Psychotherapy誌オンライン版2024年7月31日号掲載の報告。
寛解期BD-I患者132例および外来クリニックにおける健康対照群61例を対象に、横断的研究を実施した。性機能の評価にはArizona Sexual Scale(ASEX)、QOLの評価にはWHOQoL-BREFを用いた。BD-I群と健康対照群の比較を行った。BD-I群は、性機能障害の有無により2群に分類した。
主な結果は以下のとおり。
・BD-I群の性機能障害有病率は、健康対照群よりも高かった(42.4% vs.16.4%、オッズ比:3.67、95%信頼区間:1.55~8.67、p=0.003)。
・BD-I患者の性機能障害と関連していた因子は、女性(p=0.001)、高齢(p=0.003)、未治療期間の長さ(p=0.010)であった。
・性機能障害を有するBD-I患者は、そうでない患者と比較し、QOLスコアが不良であった。
著者らは「BD-I患者は、性機能障害の有病率が高く、これがさまざまなQOLスコアの低下と関連していることが示唆された」とまとめている。
(鷹野 敦夫)