境界性パーソナリティ障害を合併した双極症患者における認知機能低下

提供元:ケアネット

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公開日:2024/09/12

 

 双極症は、重度の精神疾患であり、境界性パーソナリティ障害(BPD)を合併することが多く、これにより症状がより複雑化する。中国・河北医科大学のChao-Min Wang氏らは、双極症患者のBPD合併の有無による認知機能障害への影響を調査した。World Journal of Psychiatry誌2024年8月19日号の報告。

 対象は、BPD合併双極症患者(BPD+BD群)80例およびBPDを合併していない双極症患者(BD群)80例、健康対照群80例。各群の認知機能の評価には、神経心理検査アーバンズ(RBANS)中国語版、ストループ検査(SCWT)、ウェクスラー式知能検査改訂版(WAIS-RC)を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・BPD+BD群およびBP群のRBANS、SCWT、WAIS-RCは、対照群と比較し有意に低かった(p<0.05)。
・BPD+BD群は、BP群と比較し、単一文字、単一色、二重文字、二重色のSCWT時間が有意に長く、RBANSの即時記憶、視覚的幅、言語機能次元、合計スコアのスコア低下が認められ、WAIS-RCの言語IQ、パフォーマンスIQ、全体IQのスコアも低かった(p<0.05)。
・BPD+BD群は、BP群と比較し、SCWTにおける単一文字時間、単一色時間、二重文字時間、二重色時間が有意に長かった(p<0.05)。

 著者らは、「BPDを合併した双極症患者は、合併していない患者と比較し、認知機能がより低下していた」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)