境界性パーソナリティ障害と全般不安症の併存率

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/07

 

 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、感情、衝動性のコントロール、対人機能において重度の不安定さを特徴とする精神疾患である。これまでの研究でBPD患者は不安症などの他の精神疾患の併発リスクが高いと報告されているにもかかわらず、全般不安症(GAD)とBPDとの関係はあまり調査されていなかった。カナダ・マクマスター大学のAimun Qadeer Shah氏らは、成人におけるBPDとGAD併存の臨床アウトカムに関する報告を統合するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、BPDにGADが併発する頻度は高く、この併存疾患がBPDの症状の重症度に関連している可能性が示唆された。Journal of Psychiatric Research誌2023年8月号の報告。

 2021年10月27日の時点で、PsycINFO、PubMed、Embaseの3つのデータベースより検索を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・対象研究24件(併存疾患の有病率に関する報告21件、併存疾患に関する臨床アウトカムの報告4件)が抽出され、そのうち9件をメタ解析に含めた。
・BPD患者における現在のGADの有病率は、入院患者で16.4%(95%信頼区間[CI]:1.9~66.1%)、外来および地域在住患者で30.6%(95%CI:21.9~41.1%)であった。
・BPD患者におけるGADの生涯有病率は、入院患者で11.3%(95%CI:8.9~14.3%)、外来および地域在住患者で13.7%(95%CI:3.4~41.4%)であった。
・BPDとGADの併存と関連していた因子は、BPD重症度、衝動性、怒りっぽさ、絶望感などの測定値の悪化であった。

 しかし、著者らは、統合された有病率の信頼区間の幅が大きいことを考慮し、本結果は慎重に解釈する必要がある、としている。

(鷹野 敦夫)