日本の女性医師によるPCI、治療成績は男性医師と比べて…

提供元:ケアネット

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公開日:2024/09/16

 

 日本の女性医師が行った経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の実施数やその内容、患者の予後について男性医師と比較した結果、院内死亡率は男女医師で有意差はなく、PCI成功率は女性医師のほうが高かったことを、湘南大磯病院/湘南鎌倉総合病院の高橋 佐枝子氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology: Asia誌2024年9月号掲載の報告。

 インターベンション分野において、医師の男女格差は依然として世界的な懸念事項であり、女性医師が実施したPCIの結果を検討した広範な研究は限られている。そこで研究グループは、日本の女性医師によるPCIの実態を調べ、男性医師と比較検討するために後ろ向き観察研究を行った。

 J-PCIレジストリーのデータベースを用いて、2019年1月1日~2021年12月31日にPCIを受けた連続患者を対象症例とした。主要評価項目は院内死亡率、副次評価項目はPCIの成功率であった。

 主な結果は以下のとおり。

・最終解析には、男性医師5,646人と女性医師447人によって実施された66万9,379件のPCI症例が含まれた。
・研究期間中に、女性医師によって3万5,211件(全体の5.3%)のPCIが実施された。
・女性医師が3年間に実施したPCIの中央値は57件(IQR:23~108)であり、男性医師が実施したPCI(中央値:92件、IQR:42~153)よりも有意に少なかった(p<0.001)。
・女性医師は男性医師と比較して、急性冠症候群の症例が多く(40.1% vs.37.7%、p=0.004)、とくにST上昇型心筋梗塞の症例が多かった(20.2% vs.17.7%、p=0.001)。一方で、女性医師は男性医師よりも左主幹部病変(4.9% vs.5.9%、p<0.001)、ロータブレーターを使用した病変(3.5% vs.4.9%、p<0.001)は少なかった。
・主要評価項目である院内死亡率は、女性医師が1.7%、男性医師が1.8%で有意差は認められなかった(オッズ比[OR]:0.880、95%信頼区間[CI]:0.774~1.00、p=0.052)。
・副次評価項目であるPCIの成功率は、女性医師が97.8%、男性医師が97.2%であり、女性医師のほうが良好であった(OR:1.289、95%CI:1.149~1.447、p<0.001)。
・多変量解析では、院内死亡率は男女医師で有意差はなかった(調整OR:0.896、95%CI:0.780~1.03、p=0.12)が、PCI不成功率は女性医師のほうが低かった(調整OR:0.806、95%CI:0.718~0.904、p<0.001)。

(ケアネット 森)