スウェーデン・カロリンスカ研究所のHong Xu氏らは、レビー小体型認知症(DLB)に対するコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)とメマンチンの使用が、認知機能、主要心血管イベント、死亡率に及ぼす影響を評価した。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2024年8月23日号の報告。
対象は、スウェーデンの認知症レジストリより抽出したDLB患者1,095例。DLB診断90日以内にChEIまたはメマンチンを開始した場合と抗認知症薬を使用しない場合の認知機能の軌跡、主要心血管イベント、死亡リスクに及ぼす影響を評価した。分析には、治療確率逆重み付けを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・ChEIの使用は、メマンチンおよび抗認知症薬未使用と比較し、フォローアップ時の認知機能低下の有意な遅延が認められた。
【ChEI使用】ミニメンタルステート検査(MMSE):−0.39ポイント/年、95%信頼区間(CI):−0.96~0.18
【メマンチン使用】MMSE:−2.49ポイント/年、95%CI:−4.02~−0.97
【抗認知症薬未使用】MMSE:−2.50ポイント/年、95%CI:−4.28~−0.73
・治療群間で主要心血管イベントに差は認められなかった。
・ChEIの使用は、DLB診断1年後の死亡リスク低下との関連が認められた(調整ハザード比:0.66、95%CI:0.46~0.94)。
著者らは「DLB患者に対するChEI治療の潜在的なベネフィットが明らかとなった。ChEI治療は、5年間のフォローアップ期間にわたり認知機能低下を抑制した。死亡リスクの低下は、最初の1年間で認められるものの、その効果は1年後以降には持続しないことが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)