高悪性度のHR+/HER2-進行乳がん1次治療、化学療法と比べアベマシクリブ+ETが早期ORR良好(ABIGAIL)/ESMO2024

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/09/20

 

 予後不良の関連因子を有する、悪性度の高いホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんに対する1次治療として、アベマシクリブと内分泌療法(ET)の併用は、化学療法に続いて同併用療法を実施する場合と比較して早期の奏効率(ORR)が高いことが示された。スペイン・Hospital San Juan de Dios de CordobaのJuan De la Haba Rodriguez氏は、非盲検無作為化多施設共同非劣性試験である第II相ABIGAIL試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。

・対象:高悪性度の基準(術後ET完了時の再発またはアロマターゼ阻害薬ベースのレジメン終了から36ヵ月以内、内臓転移、グレード3またはPgR陰性、LDH>1.5ULN)を1つ以上満たすHR+/HER2-進行乳がん患者(進行がんに対する治療歴なし、ECOG PS 0~1) 
・試験群:アベマシクリブ(28日サイクルで1日2回、150mg)+レトロゾール(1日1回、2.5mg)またはフルベストラント(1、15、29日目、その後は月1回、500mg) 80例
・対照群:パクリタキセル(28日サイクルで1、8、15日目、90mg/m2)を12週→アベマシクリブ+レトロゾールまたはフルベストラント 82例
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による12週時点でのORR
[副次評価項目]全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン時点での患者背景は両群でバランスがとれており、年齢中央値が試験群57歳vs.対照群60歳、ECOG PS 0が65% vs.64.3%、閉経後が68.7% vs.75.6%であった。
・12週時点でのORRは試験群58.8% vs.対照群40.2%(オッズ比:2.11、95%信頼区間:1.13~3.96、p=0.0193)で、主要評価項目は達成された。
・12週時点で、完全奏効(CR)はともに0%、部分奏効(PR)は試験群58.8% vs.対照群40.2%、安定(SD)は30.0% vs.45.2%、進行(PD)は1.2% vs.8.5%であった。
・12週時点での試験治療下における有害事象(TEAE)は、両群でそれぞれ予測されたものであり、下痢(試験群68% vs.対照群23%)を除き、試験群でより良好または同等であった。

 同試験は現在も進行中で、PFSを含むその他の副次評価項目や長期の有効性が評価される予定となっている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

参考文献・参考サイトはこちら