日本人の高リスクStage I NSCLCへの術前ニボルマブ(POTENTIAL)/ESMO2024

提供元:ケアネット

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公開日:2024/09/20

 

 Stage Iの非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の有用性に関するエビデンスは乏しい。そこで、再発リスクの高いStage IのNSCLC患者を対象として、ニボルマブ単剤による術前補助療法の有用性を検討する国内第II相試験「POTENTIAL試験」が実施された。津谷 康大氏(近畿大学医学部 外科学教室 呼吸器外科部門 主任教授)が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)において本試験の結果を発表した。

・試験デザイン:多施設共同国内第II相試験
・対象:再発リスクの高いStage I(充実型または充実成分径2~4cm)の日本人NSCLC患者52例(EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子はいずれも陰性)
・治療方法:ニボルマブ(240mg、2週ごと3サイクル)→肺葉切除+ND2a-1またはND2a-2郭清を術前補助療法最終投与日から10週以内に施行
・評価項目:
[主要評価項目]病理学的完全奏効(pCR)
[副次評価項目]病理学的奏効(MPR)、画像判定による奏効率(ORR)、安全性など
・解析計画:pCR率の90%信頼区間の下限値が10%を上回った場合に、主要評価項目を達成とした。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者の年齢中央値は71歳(範囲:53~82)、男性は78.8%(41例)であった。組織型は腺がん55.8%(29例)、扁平上皮がん42.3%(22例)、腺扁平上皮がん1.9%(1例)であり、T因子はT1bが15.4%(8例)、T1cが38.5%(20例)、T2aが46.2%(24例)であった。
・52例全例が完全切除を達成した。
・pCR率は23.1%(90%信頼区間[CI]:13.9~34.7)であり、主要評価項目を達成した。
・MPR率は46.2%であった。
・術前ニボルマブの画像判定によるORRは34.6%(CRは2例)であった。
・追跡期間中央値33.7ヵ月時点において、3年無再発生存率は85.6%、3年全生存率は89.1%であった。
・Grade3/4の治療関連有害事象は、13.5%(7例)に発現した。死亡に至った有害事象は1例に認められたが、治療との関連は否定された。

 津谷氏は、本研究結果について「主要評価項目を達成し、新たな安全性に関するシグナルはみられなかった。再発リスクの高いStage IのNSCLC患者に対するニボルマブ単剤による術前補助療法の安全性と有効性が示された」とまとめた。

(ケアネット 佐藤 亮)

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