切除不能肝細胞がん、TACE+レンバチニブ+ペムブロリズマブが有用(LEAP-012)/ESMO2024

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/09/25

 

 切除不能肝細胞がん(HCC)では、肝動脈化学塞栓療法(TACE)が標準療法の1つだが、これにレンバチニブ+ペムブロリズマブの併用療法の上乗せが、TACE単独療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したという。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)Presidential Symposiumにおいてスペイン・バルセロナ病院のJosep Llovet氏がLEAP-012試験の初回解析結果を発表した。

・試験デザイン:第III相多施設共同ランダム化二重盲検試験
・対象:根治的治療不適のHCC患者、PS 0~1
・試験群(併用群):レンバチニブ(体重により8または12mgを1日1回経口投与)+ペムブロリズマブ(400mgを6週間隔で静脈内投与、最長2年)+TACE
・対照群(プラセボ群):プラセボを経口+静脈内投与+TACE
TACEは全身療法開始後2~4週間に行い、1つの腫瘍につき最大2回、計4回、1ヵ月に1回までとした。
・評価項目:
[主要評価項目]PFS、全生存期間(OS)
[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・480例が併用群(n=237)またはプラセボ群(n=243)にランダムに割り付けられ、両群ともTACEを受けた。
・初回解析までの追跡期間中央値は25.6ヵ月(SD 12.6~43.5)であり、計286件のイベントが発生した。
・PFS中央値は併用群14.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.6~16.7)対プラセボ群10.0ヵ月(95%CI:8.1~12.2)であり、併用群はプラセボ群と比較してPFSが有意に改善した(ハザード比[HR]:0.66、95%CI:0.51~0.84、p=0.0002)。
・OSは未達だったものの、併用群が優位な傾向を示した(HR:0.80、95%CI:0.57~1.11、p=0.0867)。
・ORRは併用群46.8%に対し、プラセボ群33.3%だった。
・Grade3~5の治療関連有害事象(TRAE)は、併用群の71.3%に発生したのに対し、プラセボ群では31.1%であった。TRAEにより併用群8.4%(20例)とプラセボ群1.2%(3例)の患者で薬剤投与が中止された。

 Llovet氏は「LEAP-012は主要評価項目を達成した。レンバチニブ+ペムブロリズマブ+TACEは、PFSの統計的に有意で臨床的に意義のある改善を示し、OSについても早期に改善傾向を示した。有害事象も既知の安全性プロファイルと一致しており、この治療戦略は新たなオプションになる可能性がある。OSは今後の解析で再評価される予定だ」とまとめた。

 CareNet.comにESMO2024消化器がん領域の速報を寄せた静岡県立静岡がんセンターの大場 彬博氏は「今年1月に行われたASCO-GIでは、HCCのデュルバルマブ+ベバシズマブ+TACEの、TACE単独に対する有用性を示したEMERALD-1試験の報告があった。TACEへの免疫療法の上乗せ効果は再現性がありそうだ。今後はどのレジメンがより有用かを探求することが主要な話題となってくるだろう」とした。

(ケアネット 杉崎 真名)

参考文献・参考サイトはこちら