切除不能な肝細胞がん(aHCC)に対する1次治療としてのレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法は、レンバチニブ単独に比べ、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)ともに統計学的な有意差は認められなかった。
日本も参加した国際共同の二重盲検第III相LEAP-002試験の解析結果である。米国・カリフォルニア大学のRichard S. Finn氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表した。
・対象:前治療歴を持たない切除不能なaHCC症例
・試験群:ペムブロリズマブ3週ごと+レンバチニブを連日投与(Pem群:395例)
・対照群:プラセボ3週ごと+レンバチニブを連日投与(Len群:399例)
ペムブロリズマブとプラセボは最大35サイクルまで
・評価項目:
[主要評価項目]OS、独立評価委員会判定によるPFS
[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性
主な結果は以下のとおり。
・最終解析のデータカットオフ(2022年6月)での観察期間中央値は32.1ヵ月であった。
・両群の患者背景に偏りはなく、ウィルス性病因が約6割、肝外病変ありが約6割、BCLC病期分類のBが約2割であった。
・OS中央値は、Pem群21.2ヵ月、Len群19.0ヵ月、ハザード比(HR)は0.840(95%信頼区間[CI]:0.780~0.997)、p=0.0227であったが、事前に規定されたOSのp=0.0185を超えることはできなかった。24ヵ月OS率はPem群が43.7%、Len群が40.0%だった。
・中間解析時のPFS中央値は、Pem群8.2ヵ月、Len群8.0ヵ月、HRは0.867(95%CI:0.734~1.024)、p=0.0466と、こちらも事前規定のp=0.002を超えることはなかった。
・最終解析時点のPFSのHRは0.834で、1年PFS率はPem群34.1%、Len群29.3%、2年PFS率は16.7%と9.3%であった。
・ORRはPem群26.1%、Len群17.5%、DoR中央値は、Pem群16.6ヵ月、Len群10.4ヵ月であった。
・両剤併用による新たな安全性シグナルは報告されなかった。Grade3/4の有害事象はPem群で61.5%、Len群で56.7%に発現した。有害事象により投薬を中止した割合は18.0%と10.6%であった。
・ステロイドが投与された免疫原性の有害事象症例は、Pem群で9.6%、Len群で1.8%であった。
・試験の後治療として免疫チェックポイント阻害薬の投与を受けた割合は、Pem群で14.4%、Len群で22.8%であった。
(ケアネット 細田 雅之)