ALK陽性肺がん5年PFS中央値未達のロルラチニブ、アジア人に対する成績(CROWN)/ESMO2024

提供元:ケアネット

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公開日:2024/10/02

 

 ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした第III相「CROWN試験」の5年フォローアップ1)におけるアジア人サブグループ解析の結果、全体集団と同じくロルラチニブが無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、頭蓋内病変の進行も抑えることが示された。中国・Guangdong Lung Cancer InstituteのYi-Long Wu氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表した。

・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験
・対象:未治療のStageIIIB/IVのALK融合遺伝子陽性NSCLC患者(無症状の中枢神経系[CNS]転移は許容)
・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)
・対照群:クリゾチニブ(250mg×2/日)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS
[副次評価項目]OS、治験担当医師評価によるPFS、奏効率(ORR)、頭蓋内奏効率(IC-ORR)、奏効期間(DOR)、頭蓋内奏効期間(IC-DOR)、頭蓋内病変進行までの期間(IC-TTP)、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・全体集団296例のうち、120例(日本48例、中国48例、韓国21例、その他3例)がアジア人サブグループとして解析された。試験群は59例(年齢中央値:61歳[範囲:49~70])、対照群は61例(55歳[47~66])であった。ベースライン時に脳転移を認めたのは、試験群で13例、対照群で16例であった。
・データカットオフ時点(2023年10月31日)で、治験担当医師評価によるPFS中央値は試験群未到達、対照群9.2ヵ月であり(ハザード比[HR]:0.22、95%信頼区間[CI]:0.13~0.37)、5年PFS率は試験群63%、対照群7%であった。
・試験群ではEML4-ALKのバリアントサブタイプ(バリアント1または3)やTP53変異の有無にかかわらず、PFS中央値は未到達であった。
・ORRは試験群81.4%、対照群59.0%で、ベースライン時に脳転移を認めた集団のIC-ORRは試験群69.2%、対照群6.3%であった。
・IC-TTP中央値は試験群未到達、対照群14.6ヵ月であった(HR:0.01、95%CI:<0.01~0.1)。
・試験群におけるGrade3/4の有害事象(AE)は81.4%に発現し、その内訳は高トリグリセライド血症(33.9%)、高コレステロール血症(22.0%)、体重増加(22.0%)などであった。
・試験群における中枢神経系・精神系のAEとして、認知障害(25.4%)、気分障害(11.9%)などが認められた。
・AEにより投与中止に至った割合は試験群で5.1%、対照群で8.3%であった。

 Wu氏は、今回の結果をCROWN試験の全体集団の結果と一致しているとしたうえで「ALK陽性NSCLCのアジア人患者に対し、1次治療としてロルラチニブを用いることを支持するデータである」とまとめた。

(ケアネット 新開みのり)