ALK遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するロルラチニブ1次治療の無増悪生存期間(PFS)が5年経過しても中央値に達しなかった。
第III相CROWN試験の5年フォローアップ結果を、オーストラリア・PeterMaCllumがんセンターのBenjamin J. Solomon氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。
・対象:StageIIIB/IVの未治療のALK陽性肺がん(無症状のCNS転移は許容)
・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)
・対照群:クリゾチニブ(250mg×2/日)
・評価項目:治験担当医評価のPFS、奏効率(ORR)、頭蓋内奏効率(IC-ORR)、奏効期間、頭蓋内奏効期間(IC-DOR)、頭蓋内病変進行までの期間(IC-TTP)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・PFSの追跡期間中央値は、ロルラチニブ群60.2ヵ月、クリゾチニブ群55.1ヵ月であった。
・データカットオフ(2023年10月31日)時点で、治療が継続していた患者はロルラチニブ群50%、クリゾチニブ群5%であった。
・治験担当医評価のPFS中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群9.1ヵ月で(ハザード比[HR]:0.19、95%信頼区間[CI]:0.13〜0.27)、5年PFS率はロルラチニブ群60%、クリゾチニブ群8%であった。
・ベースライン時脳転移あり集団のPFS中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群6.0ヵ月であった(HR:0.08、95%CI:0.04〜0.19)。
・ベースライン時脳転移なし集団のPFS中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群10.8ヵ月であった(HR:0.24、95%CI:0.16〜0.36)。
・IC-TTP中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群16.4ヵ月で(HR:0.06、95%CI:0.03〜0.12)、5年時点でのIC病変無増悪率はロルラチニブ群92%、クリゾチニブ群21%であった。
・ベースライン時脳転移あり集団のIC-TTP中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群7.2ヵ月で(HR:0.03、95%CI:0.01〜0.13)、5年時点でのIC病変無増悪率はロルラチニブ群83%、クリゾチニブ群0%であった。ロルラチニブ群のIC病変進行は35例中5例であった。
・ベースライン時脳転移なし集団のIC-TTP中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群23.9ヵ月で(HR:0.05、95%CI:0.02〜0.19)、5年時点でのIC病変無増悪率はロルラチニブ群96%、クリゾチニブ群27%であった。ロルラチニブ群のIC病変進行は114例中4例であった。
・ロルラチニブ群におけるGrade3/4の有害事象(AE)は77%に発現した。AEによる減量は23%、一時中断は62%、永久中止は11%であった。
・PFS中央値もIC-TTP中央値も減量群、非減量群ともに未到達で、減量による影響はみられなかった。
「この5年解析におけるロルラチニブ群のPFS中央値は、現在までに報告された進行NSCLCに対する単剤分子標的薬治療の中で最長である」とSolomon氏は述べた。
(ケアネット)