頭痛外来を受診した患者に関する単一施設研究の報告は行われているものの、日本で実施された多施設共同研究は、これまでほとんどなかった。静岡赤十字病院の今井 昇氏らは、日本において頭痛外来を受診した患者の臨床的特徴、頭痛の種類、重症度、精神疾患の併存について多施設分析を実施し、ギャップを埋めることを目指し、本研究を実施した。Clinical Neurology and Neurosurgery誌オンライン版2024年10月15日号の報告。
3ヵ所の頭痛外来を受診した頭痛患者2,378例を対象に、臨床的特徴をプロスペクティブに評価した。視覚的アナログスケール(VAS)などのベースライン時の人口統計学的特徴、7項目の一般化不安障害質問票(GAD-7)やこころとからだの質問票(PHQ-9)などの精神疾患の評価を行った。頭痛の種類は、片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)、その他の一次性頭痛疾患、二次性頭痛に分類した。頭痛の種類間でのパラメータを比較するため、必要に応じてKruskal-Wallis検定または共分散分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・最も多かった頭痛の種類は、片頭痛(78.8%)であり、次いで緊張型頭痛(12.2%)、二次性頭痛(5.5%)、その他の一次性頭痛疾患(2.1%)、TAC(1.6%)であった。
・片頭痛患者は、初診時の年齢が他の頭痛患者よりも有意に若年であった。
【片頭痛】年齢中央値:32.0歳
【緊張型頭痛】年齢中央値:47.0歳
【二次性頭痛】年齢中央値:39.0歳
【その他の一次性頭痛疾患】年齢中央値:49.5歳
【TAC】年齢中央値:47.0歳
・TAC患者は、重症度と精神症状が最も重度であり、VAS(p<0.001)、GAD-7(p=0.019)、PHQ-9(p<0.001)のスコア中央値が、他の頭痛患者よりも有意に高かった。
【TAC】VAS:90.0、GAD-7:7.0、PHQ-9:7.5
【片頭痛】VAS:70.0、GAD-7:5.0、PHQ-9:5.0
【緊張型頭痛】VAS:50.0、GAD-7:4.0、PHQ-9:4.0
【その他の一次性頭痛疾患】VAS:65.0、GAD-7:4.0、PHQ-9:3.5
【二次性頭痛】VAS:60.0、GAD-7:3.0、PHQ-9:3.5
著者らは「頭痛外来を受診した患者の多くは、片頭痛患者であった。TAC患者は、他の頭痛患者よりも頭痛の重症度および精神症状が有意に高いことが確認された」とまとめている。
(鷹野 敦夫)