オーストラリア・エディスコーワン大学のNegar Ghasemifard氏らは、オーストラリアの高齢女性における、特定の野菜を含む総野菜摂取量と長期の老年性認知症リスクとの関連を調査した。Food & Function誌2024年10月28日号の報告。
対象は、地域在住の70歳以上の高齢女性1,206人。ベースライン時(1998年)、検証済みの食物摂取頻度調査票を使用して、野菜の総摂取量、野菜の種類別摂取量(黄/オレンジ/赤い野菜[YOR]、アブラナ科、ネギ科、緑色の葉野菜[GLV]、豆類)を推定した。老年性認知症は、80歳以降に発症するすべての認知症と定義した。入院およびまたは死亡を含む老年性認知症イベントは、リンクした健康記録より収集した。関連性の評価には、多変量調整(APOE4遺伝子を含む)Cox比例ハザードモデルの制限付き3次スプラインを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・14.5年間のフォローアップ期間中(約1万5,134人年)の、老年性認知症イベントは207件(17.2%)、老年性認知症による入院は183件(15.25%)、死亡は83件(6.9%)であった。
・野菜総摂取量が最低四分位(Q1)の女性と比較し、摂取症の多い女性(Q3、ただしQ4ではない)では、老年性認知症による死亡リスクが39%低下した。
・Q1と比較し、YOR摂取量がQ4の女性は、老年性認知症イベント(47%)、入院(46%)、死亡(50%)のリスクが一貫して低かった。
・同様に、ネギ科の摂取量が最も多い(Q4)女性は、Q1と比較し、老年性認知症イベント(36%)、死亡(49%)のリスクが低かった。
・GLV摂取量が最も多い(Q4)女性では、老年性認知症による死亡が45%低下していた。
著者らは「認知症予防に対し、野菜総摂取量は重要であるが、老年性認知症リスクを考慮すると、ネギ科、GLV、とくにYORが最も有用である可能性が示唆された。これらの結果が、男性にも当てはまるかについては、男性を含むコホートでの検証が必要とされる」としている。
(鷹野 敦夫)