BMIと乳がんリスクの関連は、アジア人女性と欧米人女性で異なることが示唆されている。アジア人においては、閉経後女性でBMIと乳がんの正の相関が線形か非線形か、また閉経前女性でBMIと乳がんの相関が正か負かについて、以前の研究で矛盾した結果が報告されている。今回、岐阜大学の和田 恵子氏らは、複数のコホート研究から集められた約32万人のデータを使用して、閉経前および閉経後の日本人を含む東アジア人女性におけるBMIと乳がん発症率との関連を調べた。その結果、閉経後女性ではBMIと乳がんリスクに正の相関がみられたが、BMIが高くなると傾きが緩やかになった。また、閉経前女性で逆相関はみられなかった。Breast Cancer Research誌2024年11月14日号に掲載。
本研究は、日本、韓国、中国の13のコホート研究から得られた31万9,189人の女性のデータを用いたプール解析。 参加者の身長および体重はベースライン時に測定または自己申告によって得られた。 BMIにより7つのカテゴリー(18.5未満、18.5以上21未満、21以上23未満、23以上25未満、25以上27.5未満、27.5以上30未満、30以上)に分け、Cox比例ハザードモデルを用いて、21以上23未満を基準群とした乳がんのハザード比を推定した。またBMIが5上昇した場合のハザード比も算出した。
主な結果は以下のとおり。
・平均16.6年の追跡期間中に、4,819人が乳がんを発症した。
・閉経後女性では、欧米人と同様、BMI増加に伴う乳がんリスクの一定の増加がみられたが、26以上28未満からリスクの増加の傾きが緩やかになった。
・閉経前女性では、欧米人でみられた逆相関はみられず、50歳以上ではBMIの増加とともに乳がん発症リスクがわずかに増加し、高齢の出生コホートで顕著であった。50歳未満ではBMIと乳がん発症リスクに有意な関連は認められなかったが、出生コホートが若くなるにつれてリスク推定値が正から負に変化した。
著者らは「東アジアでは、肥満と乳がんの増加に伴い、閉経前女性の乳がん発症におけるBMIの役割が変化している可能性がある」と考察している。
(ケアネット 金沢 浩子)