女性は成人初期以降に体重が大きく増減することがある。これまでに体の大きさと閉経前乳がんリスクとの関係は報告されているが、体重変化と閉経前乳がんリスクとの関係は不明である。今回、英国・The Institute of Cancer ResearchのMinouk J. Schoemaker氏らが、17件の前向き研究の個人データをプール解析したところ、成人初期の体重に関係なく、成人初期から45〜54歳までの体重増加が閉経前乳がんリスクの低下と関連することが示唆された。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年2月3日号に掲載。
本研究では、成人初期の体重、体重変化時期、他の乳がんリスク因子、乳がんサブタイプを考慮し、体重変化と閉経前乳がんリスクとの関連を調査した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、Cox回帰を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・62万8,463人の女性のうち、1万886人が閉経前に乳がんと診断された。
・18〜24歳時の体重および他の乳がんリスク因子で調整したモデルにおいて、18〜24歳から35〜44歳まで、もしくは45〜54歳までの体重増加が乳がん全体(例:45〜54歳までの5kg増当たりのHR:0.96、95%CI:0.95~0.98)およびエストロゲン受容体(ER)陽性乳がん(45~54歳までの5kg増当たりのHR:0.96、95%CI:0.94~0.98)と逆相関することが示された。
・25~34歳からの体重増加はER陽性乳がんのみと逆相関し、35~44歳からの体重増加はリスクと関連していなかった。
・これらの体重増加はいずれもER陰性乳がんリスクとは関連していなかった。
・体重減少については、成人初期の体重を調整すると、全体またはER有無別のリスクと関連していなかった。
なお、日本人女性コホートのプール解析では、閉経前乳がんとBMIとの間に正の関連がみられたとの報告(Wada K, et al. Ann Oncol. 2014;25:519-524.)があることから、日本人女性では欧米人女性とは傾向が異なる可能性もある。
(ケアネット 金沢 浩子)