片頭痛治療をためらう理由とは〜OVERCOME研究

提供元:ケアネット

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公開日:2024/12/13

 

 片頭痛の治療法は、さまざまであるにもかかわらず、片頭痛患者の多くは、医療に消極的であり、診断および効果的な治療機会を逃し、疾病負担を軽減する機会を喪失している可能性がある。患者が片頭痛治療を躊躇する理由を明らかにすることは、医療専門家や支援者の障壁に対処し、アウトカム改善につながると考えられる。米国・バーモント大学のRobert E. Shapiro氏らは、片頭痛治療を躊躇することと関連する因子を特定するため、米国大規模サンプルを対象に、調査を行った。Neurology and Therapy誌オンライン版2024年11月2日号の報告。

 本WebベースのOVERCOME(US)研究では、代表的な人口統計学的米国サンプルより、片頭痛治療を躊躇するおよびその理由に関する質問に回答した活動性成人片頭痛患者5万8,403例を特定した。教師あり機械学習(Supervised machine learning:ランダムフォレスト、LASSO回帰)により、躊躇に関する因子を特定し、ロジスティック回帰モデルでその因子の関連性を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者のうち、片頭痛治療を躊躇していた患者の割合は45.1%(2万6,330例)。
・片頭痛治療を躊躇する因子は、次のとおりであった。
【片頭痛であることを隠したい】オッズ比(OR):2.69、95%信頼区間(CI):2.50〜2.89
【片頭痛に関連するスティグマの経験】OR:2.13、95%CI:1.95〜2.33
【片頭痛に関連する障害】OR:1.30、95%CI:1.23〜1.38
【発作性皮膚アロディニア】OR:1.26、95%CI:1.19〜1.35
・片頭痛治療を躊躇する理由は、次のとおりであった。
【片頭痛を自分で治療したい】44.2%
【片頭痛や頭痛を真剣に受け止めてもらえないと感じる】33.8%
【片頭痛がそれほど深刻ではない/痛みがないと考えている】29.2%
【片頭痛治療にお金を払えない/お金をかけたくない】27.4%
・本調査の限界として、回答者がインターネットを利用可能であることを必須としている、コホートバイアスを反映している可能性のあるアクセス、人口統計学的に代表的なサンプル作成のためランダムサンプリングではなく割り当てサンプリングを採用している点が挙げられる。

 著者らは「片頭痛治療を躊躇するのは一般的であり、片頭痛であることを知られたくないことやスティグマとの強い関連が認められた。片頭痛関連の負担が大きい人ほど、治療を躊躇することが示唆された」とし「スティグマなどの片頭痛の社会的背景が、治療を求めることを躊躇させる主な因子であることが示唆された」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)