2022年にNCD(National Clinical Database)乳がん登録に登録された日本国内1,339施設の乳がん症例10万2,453例の人口学的・臨床病理学的特徴を、兵庫医科大学の永橋 昌幸氏らがBreast Cancer誌2025年3月号に報告した。
日本乳癌学会では1975年に乳がん登録制度(Breast Cancer Registry)を開始し、2012年からはNCD乳がん登録のプラットフォームへ移管された。NCDに参加する医療機関で新たに乳がんと診断された患者は、乳房手術の有無にかかわらず登録対象となっており、2012~21年の10年間で累計89万2,021例が登録されている。
主な結果は以下のとおり。
・女性患者は10万1,793例(99.4%)で、診断時の年齢中央値は62歳(四分位範囲:50~73歳)、29.4%が閉経前であった。
・1万5,437例(15.2%)がStage0、4万2,936例(42.2%)がStageIと診断された。
・エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)の陽性率は、それぞれ78.7%、69.4%、12.8%であった。
・遠隔転移のない9万7,154例のうち、4万521例(41.7%)が乳房温存手術を受け、5,780例(5.9%)が乳房切除時に乳房再建手術を受けていた。
・6万6,894例(68.9%)がセンチネルリンパ節生検を受け、7,155例(7.4%)がセンチネルリンパ節生検に続き腋窩リンパ節郭清を受けていた。
・乳房温存手術を受けた4万521例のうち、2万9,500例(72.8%)が全乳房照射を受けていた。
・分子標的治療の有無にかかわらず術前化学療法を受けた1万3,950例のうち、4,308例(30.9%)が病理学的完全奏効(pCR)を達成し、とくにホルモン受容体陰性/HER2陽性の患者でpCR率が最も高く、60.5%であった。
(ケアネット 遊佐 なつみ)