睡眠時間×身体活動量×食事の質、わずかな改善でも死亡リスク10%減

提供元:ケアネット

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公開日:2025/03/11

 

 睡眠・身体活動・栄養は健康の維持に重要な要素であるが、その影響について、これまで多くの場合個別に研究されてきた。オーストラリア・シドニー大学のEmmanuel Stamatakis氏らは、これらの要素の組み合わせが全死因死亡リスクに与える影響について評価し、リスクを有意に低下させる個人レベルの変化について明らかにすることを目的としたコホート研究を実施した。BMC Medicine誌2025年2月26日号掲載の報告。

 本研究では、UK Biobankの前向きコホートデータから、7日間の手首装着型加速度計(Axivity AX3)データおよび自己申告による食事データを有する参加者5万9,078人(年齢中央値:64.0歳、男性:45.4%)を対象とした。加速度計で測定された睡眠時間(時間/日)と中~高強度身体活動(MVPA、分/日)は、機械学習ベースのスキーマを用いて計算された。10項目の食事品質スコア(DQS)により、野菜、果物、魚、乳製品、全粒穀物、植物油、精製穀物、加工肉および未加工肉、砂糖入り飲料の摂取量を評価した(各項目の摂取量を0[最も不健康]から10[最も健康的]の最大100ポイントで評価、値が高いほど食事の質が高いことを示す)。

 Cox比例ハザードモデルを用いて、3要素の三分位群27通りの組み合わせと全死因死亡リスクの関連を評価し、3要素すべてが最低三分位に属する群を対照群とした。より詳細な臨床的解釈のために、各行動の5パーセンタイル値を基準として、3要素の複合的な増分用量反応変化を解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中央値8.1年において、2,458件の死亡が確認された。
・対照群と比較して最も大きな全死因死亡リスク低下がみられた最適な3要素の組み合わせは、中程度の睡眠(7.2~8.0時間/日)、高MVPA(42~103分/日)、高DQS(57.5~72.5)で、全死因死亡リスクの64%低下と関連した(ハザード比[HR]:0.36、95%信頼区間[CI]: 0.26~0.50)。
・睡眠5.5時間/日、MVPA 7.3分/日、DQS 36.9(いずれも5パーセンタイル値)を基準とした場合、睡眠15分/日、MVPA 1.6分/日、DQS 5ポイント(例:1日当たり野菜を1/2サービング多く食べる、または1週間当たり加工肉1サービングを削減)という最小限の増加が、全死因死亡リスクの10%低下と関連していた(HR:0.90、95%CI:0.88~0.93)。
・さらに、睡眠75分/日、MVPA 12.5分/日、DQS 25ポイントの増加は、全死因死亡リスクの50%低下と関連していた(HR:0.50、95%CI:0.44~0.58)。

 著者らは、最適な3要素の組み合わせは中程度の睡眠×高MVPA×高DQSであることが示され、睡眠・身体活動・食事の質の非常にわずかな改善も全死因死亡リスク低下に寄与する可能性が示唆されたとまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)