SGLT2阻害薬(SGLT2i)の使用が痛風リスクの低下と関連していることを示すデータが報告された。米マサチューセッツ総合病院(MGH)のNatalie McCormick氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月25日掲載された。DPP-4阻害薬(DPP-4i)を使用した場合と比較した結果であり、痛風以外に心筋梗塞についてもリスクに有意差が見られたという。
SGLT2iは血糖低下作用とともに尿酸値を低下させる作用のあることが知られている。この作用が痛風患者の発作リスク抑制につながる可能性があるが、そのような視点での研究はまだ十分でない。McCormick氏らはこの点について、2014年1月~2022年6月の医療データを用いて検討した。
解析対象期間にSGLT2iまたはDPP-4iで治療が開始されていた痛風を有する2型糖尿病患者を、傾向スコアマッチングによって背景因子を一致させたデータセットを作成。主要アウトカムを、救急部門や一般外来の受診または入院、および薬剤処方によって確認された痛風発作の再発とし、副次的に心筋梗塞と脳卒中の発症も評価した。また、陽性対照として性器感染症、陰性対照として変形性関節症の発症を評価した。
痛風の再発は、SGLT2iで治療開始されていた群が1,000人年当たり52.4件、DPP-4iで治療開始されていた群では同79.7件であり、率比(RR)0.66(95%信頼区間0.57~0.75)で、率差(RD)は1,000人年当たり-27.4(同-36.0~-18.7)であって、SGLT2i群の方が有意に少なかった。また、痛風発作による救急部門の初回受診または入院のRRおよびRDは、1,000人年当たりそれぞれ0.52(0.32~0.84)、-3.4(-5.8~-0.9)だった。
副次的評価項目である心筋梗塞は、ハザード比(HR)が0.69(0.54~0.88)、RDは1,000人年当たり-7.6(-12.4~-2.8)であり、SGLT2i群の方が低リスクだった。ただし脳卒中についてはHR0.81(0.62~1.05)で有意差がなかった。性器感染症についてはSGLT2i群のリスクの方が高く〔HR2.15(1.39~3.30)〕、変形性関節症のリスクは同等だった〔HR1.07(0.95~1.20)〕。
以上を基に著者らは、「痛風患者においてSGLT2iは発作の再発や、発作に伴う救急部門の初回受診または入院を減らし、心血管系に有益な効果をもたらす可能性もある」と結論付けている。また、「2型糖尿病患者に対してSGLT2iが、糖代謝や心血管合併症リスクを抑制する多面的なメリットが示されていることを考慮すると、このクラスの薬剤は尿酸降下療法としても魅力的な治療手段となる可能性がある」と付け加えている。
[2023年7月24日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら