米食品医薬品局(FDA)は11月9日、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(congenital thrombotic thrombocytopenic purpura;cTTP)の成人および小児患者における予防的酵素補充療法(enzyme replacement therapy;ERT)またはオンデマンドのERTを適応とした初の遺伝子組換えADAMTS13タンパク質としてAdzynma(遺伝子組換えADAMTS13-krhn)を承認した。
cTTPは非常にまれな遺伝性の血液凝固障害で、米国での罹患者数は1,000人に満たないと推定されている。cTTPでは、ADAMTS13遺伝子の変異により血液凝固を制御する酵素(ADAMTS13)の活性が著しく低下もしくは失活し、これにより全身の微小血管に血栓が生じる。cTTPの症状は重度の出血、脳卒中、主要な臓器へのダメージなどで、未治療のまま放置すると致死的となり得る。cTTPの治療では通常、ADAMTS13の不足を補うために新鮮凍結血漿を輸注して発症を予防する予防的血漿療法が行われる。
Adzynmaは、症状を予防するためのERTの場合には2週間に1回、急性イベントが生じている患者に対するオンデマンドERTの場合には1日1回投与される。
Adzynmaの安全性と有効性は、cTTP患者46人を対象にしたランダム化非盲検クロスオーバー第3相試験において示された。対象者は、6カ月にわたってAdzynmaまたは血漿療法による治療を受ける群にランダムに割り付けられ(期間1)、その後の6カ月(7〜12カ月目、期間2)は期間1とは逆の治療を受け、その後、35人が6カ月にわたってAdzynmaによる治療を受けた(期間3)。その結果、TTPイベントとTTP症状の発生率、および追加投与の頻度に基づいてAdzynmaの予防的ERTにおける有効性が確認された。一方、オンデマンドERTにおけるAdzynmaの有効性は、研究期間中に予防的ERTおよびオンデマンドERTを受けたコホート全体に生じた急性および亜急性のTTPイベント発生率に基づいて評価された。その結果、全ての急性および亜急性TTPイベントは、Adzynmaまたは血漿ベースの治療によって治癒したことが確認された。
Adzynma投与により生じた主な副作用は、頭痛、下痢、片頭痛、腹痛、吐き気、上気道感染、めまい、嘔吐などである。試験期間中に、Adzynma投与に伴うアレルギー反応などの有害事象は認められなかった。
FDA生物製品評価研究センター(CBER)長のPeter Marks氏は、「FDAは、希少疾患患者に対する安全で効果的な治療法の開発と承認を促進するために尽力し続けている。cTTPは治療せずにおくと死に至る病だ。今回の承認は、この命を脅かす疾患に罹患している患者が待ち望んでいた治療選択肢を提供したという点で、大いなる前進となるものだ」と述べている。
Adzynmaの承認は、武田薬品工業株式会社に対して付与された。
[2023年11月13日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら