GLP-1RAとSGLT2iはMASLD併発2型糖尿病のCVイベントを抑制

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/07/30

 

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)とSGLT2阻害薬(SGLT2i)は、DPP-4阻害薬(DPP-4i)に比べて、MASLD(代謝異常関連脂肪性肝疾患)併発2型糖尿病患者の心血管(CV)イベントや肝臓イベントのリスクを低下させる可能性を示唆するデータが報告された。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院およびハーバード大学医学大学院のAlexander Kutz氏らが、米国内分泌学会(ENDO2024、6月1~4日、ボストン)で発表した。

 Kutz氏らは、2013~2020年のメディケアデータベース、および、2013~2022年の米国内の大規模健康保険データベースを利用して、GLP-1RA、SGLT2i、DPP-4iにより治療が開始されていたMASLD併発2型糖尿病患者のCVイベント(急性心筋梗塞、虚血性脳卒中、心不全入院)、および肝臓イベントなどの発生リスクを調査した。

 まず、DPP-4iで治療が開始されていた群(1万7,084人)とGLP-1RAで治療が開始されていた群(1万3,666人)の比較では、後者のCVイベントの発生ハザード比(HR)が0.67であり、1,000人年当たりの発生率差(IRD)は-21.6と計算された。また肝臓イベントについては、HR0.47、IRDは-2.1だった。次に、DPP-4iとSGLT2iの比較では(該当患者数は同順に1万6,979人、1万1,108人)、CVイベントについてはHR0.82、IRD-11.0だった。肝臓イベントには両群のリスクに有意差がなかった。なお、重篤な有害事象の発生率については、GLP-1RA群、SGLT2i群ともにDPP-4i群と有意差がなかった。

 Kutz氏は、「この研究以前は、これらの薬剤がMASLD併発2型糖尿病患者にどのような影響を及ぼすのかが明らかにされていなかった。われわれの研究は、GLP-1RAおよびSGLT2iが、DPP-4iなどの他のタイプの血糖降下薬に比べて、CVイベントの抑制という点で優れていること、およびGLP-1RAは肝臓イベントのリスク軽減にもつながることを示している」と話している。なお、MASLDは従来、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と呼ばれていた病態を、主に海外の研究者を中心とする専門家パネルにより、代謝異常の関与をより重視して再定義された病態。Kutz氏によると、「2型糖尿病の患者数の増加が続いているが、その患者群のかなりの割合がMASLDも併発している」という。

 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

[2024年6月7日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら