大腸がんの家族歴がなく、最初の大腸内視鏡検査で陰性所見が得られた人では、大腸内視鏡検査の実施間隔を長くすることは安全であり、不必要な大腸内視鏡検査を回避できるようだという研究結果が、「JAMA Oncology」に5月2日掲載された。
ドイツがん研究センター(ドイツ)のQunfeng Liang氏らは、最初の大腸内視鏡検査で大腸がんの陰性所見が得られた場合、何年後に2回目の大腸内視鏡検査を実施できるかを評価した。検査陰性(曝露)群には、大腸がんの家族歴がなく、1990年から2016年の間に45~69歳で最初の大腸内視鏡検査を受け、大腸がんの陰性所見が得られた人11万74人が含まれた。対照群は、曝露群と性別や誕生年、基準年齢が一致し、追跡期間中に大腸内視鏡検査を受けなかった、または大腸内視鏡検査を受けて大腸がんの診断に至った人198万1,332人が含まれた。
最初の大腸内視鏡検査で大腸がんの陰性所見が得られた人を、最長29年間追跡した結果、大腸がんの発症が484件、大腸がん特異的死亡が112件認められた。15年間の大腸がんリスクおよび大腸がん特異的死亡リスクは、曝露群ではマッチさせた対照群より有意に低かった。最初の大腸内視鏡検査で陰性所見が得られてから15年後の10年標準化罹患比(SIR)は0.72、10年標準化死亡比(SMR)は0.55であった。大腸内視鏡検査の実施間隔を10年から15年へと延長すると、1,000人当たり2件の大腸がん診断を早期発見できず、1件の大腸がん特異的死亡を防げない可能性があり、一方で1,000件の大腸内視鏡検査を回避できる可能性が示された。
著者らは「大腸内視鏡検査の実施間隔を長くすることは、不必要な侵襲的検査を避ける上で有益な可能性がある」と述べている。
[2024年5月3日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら