心房細動が脳卒中のリスクであることは有名であるが、冠動脈疾患予防薬が心房細動患者に及ぼす影響については情報が限られていた。このたび、Wandell氏らは、冠動脈疾患予防薬が心房細動患者の全死亡に与える影響について解析した結果を発表した。Eur J Clin Pharmacol誌オンライン版2012年9月19日号掲載の報告。
解析の対象は、スウェーデンのプライマリケアセンター75施設よりデータの提供を受けた45歳以上の心房細動患者12,302例(男性6,660例)であった。Cox回帰分析を用いて、冠動脈疾患予防薬の全死亡に与える影響が、性別(男・女)、年齢別(80歳以上・80歳未満)に解析された。共変量は、年齢、心血管疾患の診断、教育レベルとされた。
主な結果は以下のとおり。
・下記カテゴリーにおいて、抗凝固薬使用で低い死亡率が認められた
男性/80歳未満(補正HR 0.43、95 %信頼区間:0.31~0.61)
男性/80歳以上(補正HR 0.47、95 %信頼区間:0.32~0.69)
女性/80歳未満(補正HR 0.46、 95 %信頼区間:0.29~0.74)
・下記カテゴリーにおいて、抗血小板薬使用で低い死亡率が認められた。
男性/80歳以上(補正HR 0.51、 95 %信頼区間:0.35~0.74)
・下記カテゴリーにおいて、チアジド薬使用で低い死亡率が認められた。
男性/80歳未満(補正HR 0.68、 95 %信頼区間:0.48~0.96)
男性/80歳以上(補正HR 0.67、 95 %信頼区間:0.46~0.98)
女性/80歳以上(補正HR 0.70、 95 %信頼区間:0.52~0.94)
・下記カテゴリーにおいて、スタチン使用で低い死亡率が認められた。
男性/80歳未満(補正HR 0.47、 95 %信頼区間:0.32~0.68)
女性/80歳未満(補正HR 0.54、 95 %信頼区間:0.35~0.82)
(ケアネット 鈴木 渉)