高齢者介護ロボット、認知症対応でも効果を発揮できる? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/01/23 ニュージーランド・オークランド大学のHayley Robinson氏らは、新たに開発されている高齢者介護ロボット「Guide robot」について、すでに介護ロボットとして成功しているアザラシ型「パロ」との比較で、認知症高齢者および介護スタッフへの適合性について調査した。その結果、認知症高齢者介護ロボットはシンプルかつ刺激的で楽しさをもたらしてくれるものでなければならないなど、改善のための示唆が得られたことを報告した。また本検討では、「パロ」の改善すべき点も明らかになったという。Journal of American Medical Directors Association誌2013年1月14日号の掲載報告。 断面調査の手法にて行われた本検討は、オークランドの認定認知症介護施設で、入居者と、その家族介護者、施設スタッフを対象として行われた。「Guide robot」と「パロ」とのふれあいについてビデオテープで録画し、入居者が両ロボットを見た回数、微笑んだ回数、触れた回数、話しかけた回数、および話題にした回数を調べた。また自由回答による定性分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・調査対象者は、認知症入居者10人、家族介護者11人、スタッフ5人であった。 ・入居者は、「Guide robot」よりも「パロ」のほうに微笑み、触れ、話しかけた回数が有意に多かった。 ・「パロ」は、家族介護者、スタッフそして入居者の認容性(acceptable)が高かった。一方で「Guide robot」については、多くの人が、認知症集団に対応するための人間工学的要素、および単純さを備えていれば有用な可能性はあると認識していることが判明した。 ・以上のように調査の結果、認知症対応のヘルスケアロボットは、刺激に富み楽しいものであると同時に、単純かつ使いやすいものでなければならないことが明らかとなった。 ・本研究により、高齢者介護ロボットが認知症対応で最も効果を発揮できる仕様が明確になった。 ・「パロ」については、認知症集団の受け入れを高めるために、音声の修正が必要であると結論される。 ・「Guide robot」については人間工学的設計を見直し、ソフトウエアアプリケーションを簡便化し認知症を有する人向けのものにしなければならないことが明らかとなった。 関連医療ニュース ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? ・認知症患者へタブレットPC導入、その影響は? ・重度の認知障害を有する高齢者、視力検査は行うべき? (ケアネット) 原著論文はこちら Robinson H et al. J Am Med Dir Assoc. 2013 Jan; 14(1): 34-40. Epub 2012 Oct 23. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20)