ピオグリタゾン vs. rosiglitazoneの心血管イベント:住民ベース調査

提供元:ケアネット

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公開日:2009/09/18

 



チアゾリジン系経口血糖降下薬rosiglitazoneとピオグリタゾン(商品名:アクトス)については、いずれも鬱血性心不全との関連が指摘され、またrosiglitazoneには急性心筋梗塞との関連も指摘されているが、2剤間に心血管系に関する安全性のプロファイルに臨床的に重大な差があるかどうかは明らかになっていない。カナダ・トロント大学のDavid N Juurlink氏らのグループは、rosiglitazone、ピオグリタゾンの投与を受けた2型糖尿病患者における、急性心筋梗塞、心不全、死亡リスクを比較する、住民ベースの後向きコホート研究を行った。BMJ誌2009年9月5日号(オンライン版2009年8月18日号)掲載より。

高齢糖尿病患者4万例のデータを比較解析




参加者は、2002年4月1日から2008年3月31日の間に、rosiglitazoneまたはピオグリタゾン治療を開始した66歳以上の外来患者39,736例。主要評価項目は急性心筋梗塞または心不全による死亡または入院の複合とした。2次解析では、各々のアウトカムが個々に検討された。

6年間の試験期間中、ピオグリタゾン群895例(5.3%)、rosiglitazone群1,563例(6.9%)で複合アウトカムに至った。人口統計上および臨床上の因子と薬剤投与量など補正後では、ピオグリタゾン群はrosiglitazone群より、主要評価項目が発現するリスクは低かった(補正後ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.76~0.90)。

2次解析の結果は、死亡(同:0.86、0.75~0.98)、心不全(同:0.77、0.69~0.87)についてはピオグリタゾン群のリスクがより低かったが、急性心筋梗塞(同:0.95、0.81~1.11)ではリスクに有意差がみられなかった。

リスク換算すると、ピオグリタゾン群よりrosiglitazone群で年間93例につき1例多く複合アウトカムが起こることが予測された。

高齢の糖尿病患者では、心不全と死亡のリスクはrosiglitazoneよりピオグリタゾンが有意に低かった。また、rosiglitazoneはピオグリタゾンに対して、明確な臨床上の優位性が欠如しているため、rosiglitazoneの継続投与が正当化される可能性はないとJuurlink氏は結論づけている。