米国の乳がん患者の約75%が、初回手術として乳房温存手術を選択しているようだ。そのうち約12%が、再手術で乳房切除術を実施している。米国Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのMonica Morrow氏らが、約3,000人を対象に行った調査で明らかになったもので、JAMA誌2009年10月14日号で発表した。米国では、乳がん治療における乳房切除術の過剰実施が懸念されている。
患者の約2割が、セカンドオピニオンを希求
Morrow氏らは、2005年6月~2007年2月の間に乳がんの診断を受けた、ロサンゼルスとデトロイトに住む20~79歳の女性3,133人に対し、調査を行った。最終的な調査対象者数は、1,984人(ラテン系502人、黒人529人、非ヒスパニック・白人953人)だった。
このうち、1,468人(75.4%)が、初回手術として乳房温存手術を実施していた。
一方、初回手術として乳房切除術を行ったのは、460人だった。このうち担当外科医に乳房切除術を勧められたのは、患者全体の13.4%で、医師の勧めではなく自ら選択した人は8.8%だった。
また、全体の約20%(378人)の患者がセカンドオピニオンを求めていた。この割合は、最初の外科医が温存手術を勧めた場合には15.6%なのに対し、乳房切除術を勧めた場合には33.4%と、後者の場合のほうが有意に高率だった(p<0.001)。最初の外科医とセカンドオピニオンの意見が不一致だったのは、12.1%(43人)だった。
初回乳房温存手術の約38%で、再手術必要
初回手術で乳房温存手術を行った人のうち、再手術を必要としたのは37.9%に上った。内訳としては26.0%が乳腺腫瘤摘出術の実施で、11.9%が乳房切除術だった。
なお、乳房切除術の実施率が最も高率だったのは、乳がんのステージIIの患者だった(p<0.001)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)