Clostridium difficile(C. difficile)感染の再発に対して、抗C. difficileモノクローナル抗体(CDA1+CDB1)が有効であることが報告された。米国Medarex社のIsrael Lowy氏ら研究グループが行った第II相無作為化試験の結果、抗菌薬投与中の患者への追加投与で再発の有意な減少が確認されたという。C. difficileは通常は病原性を有さないが、抗菌薬投与による腸内細菌叢の乱れによってトキシンの産生が誘発され、下痢症や大腸炎の病原菌となる。ここ10年ほど欧米では、広域スペクトラム抗菌薬使用の広がりがC. difficile疫学を変えたと言われるほど、毒性が強いC. difficile(BI/NAP1/027株)の出現、治療失敗や感染症再発の増大、および顕著な死亡率増加がみられるようになり問題になっている。NEJM誌2010年1月21日号掲載より。
抗菌薬に完全ヒトモノクローナル抗体を追加投与
第II相試験は無作為化二重盲検プラセボ対照で行われた。
症候性の
C. difficile感染でメトロニダゾール(商品名:フラジール)かバンコマイシンを投与されていた患者に対し、抗
C. difficileモノクローナル抗体(CDA1+CDB1)かプラセボを、10mg/kg体重、単回静注した。
2006年7月から2008年4月の間に、米国およびカナダの30施設で、18歳以上の患者200例が登録。モノクローナル抗体投与群は101例、プラセボ投与群は99例だった。
主要転帰は、モノクローナル抗体かプラセボを投与後84日以内に、検査で確認された感染再発とした。
再発率は、抗体群7%、プラセボ群25%
C. difficile感染再発率は、抗体群7%、プラセボ群25%で、モノクローナル抗体投与群の方が低かった(P<0.001)。
流行性のBI/NAP1/027株を有する患者の再発率は、抗体群8%、プラセボ群32%だった(P=0.06)。
C. difficile感染エピソードが1回以上ある患者の再発率は、それぞれ7%と38%だった(P=0.006)。
入院患者の初回入院期間は、抗体群9.5日、プラセボ群9.4日で、有意差は認められなかった。
1つ以上の重篤な有害事象が報告された患者は、抗体群18例、プラセボ群28例だった(P=0.09)。
(医療ライター:朝田哲明)