骨粗鬆症治療薬lasofoxifeneのイベントリスク減少に関する評価:PEARL試験

提供元:ケアネット

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公開日:2010/03/10

 

 非ステロイド性の選択的エストロゲン受容体調節物質であるlasofoxifeneについて、骨粗鬆症の閉経後女性の、骨折および乳がん、心血管疾患のリスクが減少するかを評価する「PEARL試験」の結果が、米国カリフォルニア大学のSteven R. Cummings氏らによって報告された。高用量投与(0.5mg/日)では、骨折、乳がん、冠動脈疾患、脳卒中のリスクは減少が確認されたが、静脈血栓塞栓のイベントリスクは増加がみられたという。NEJM誌2010年2月25日号掲載より。

骨粗鬆症の閉経後女性8,556例、5年時点の評価
 PEARL(Postmenopausal Evaluation and Risk-Reduction with Lasofoxifene)試験は、国際的な無作為化プラセボ対照試験(32ヵ国113施設から登録)で、大腿骨頸部または脊椎の骨密度Tスコアが-2.5以下の59~80歳(平均年齢67歳)女性8,556例を対象に行われた。被験者は、lasofoxifene投与群(1日1回0.25mgまたは0.5mg)と、プラセボ投与群に無作為化され、5年時点でアウトカムの評価が行われた。

 主要エンドポイントは、脊椎骨折、非脊椎骨折、エストロゲン受容体(ER)陽性乳がんとした。副次エンドポイントは、主な冠動脈疾患イベント、脳卒中とした。

0.5mg/日は、骨折、乳がん、冠動脈疾患、脳卒中リスクを減少
 結果、lasofoxifene 0.5mg/日群(1,777例)は、プラセボ群(1,820例)と比べて、脊椎骨折リスク減少(ハザード比:0.58、p<0.001)、非脊椎骨折リスク減少(同:0.76、p=0.002)、ER陽性乳がんリスク減少(同:0.19、p<0.001)、冠動脈疾患イベントリスク減少(同:0.68、p=0.02)、脳卒中リスク減少(同:0.64、p=0.04)との関連が認められた。

 0.25mg/日群(1,753例)は、プラセボ群と比べて、脊椎骨折リスク減少(ハザード比:0.69、p<0.001)、脳卒中リスク減少(同:0.61、p=0.03)との関連が認められた。

 一方、0.25mg/日群、0.5mg/日群ともに、プラセボ群と比べて、静脈血栓塞栓イベント増加(ハザード比はそれぞれ2.67、2.06)との関連が認められた。

 子宮体がん発症は、0.25mg/日群に2例、0.5mg/日群に2例、プラセボ群3例。1,000人当たりの死亡率はそれぞれ、7.0、5.7、5.1だった。

(医療ライター 朝田 哲明)