小児喘息、低用量吸入ステロイド療法でコントロール不良の場合の次なる選択肢は?

提供元:ケアネット

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公開日:2010/03/31

 



低用量吸入ステロイド療法(ICS)を受けていても、多くの子どもでコントロール不良の喘息が起きる。米国ウィスコンシン大学医学公衆衛生校Robert F. Lemanske氏らは、コントロール不良が起きた場合の次なる治療法に関して模索する試験「BADGER(Best Add-on Therapy Giving Effective Responses)」を実施した。これまでステップアップ療法に関するエビデンスはない。検討されたのは、「ICS増量」「LABA追加」「LTRA追加」の3つのステップアップ療法で、基線特性によって次なる選択肢としてどれが最適かが評価された。NEJM誌2010年3月18日号(オンライン版2010年3月3日号)掲載より。

3つのステップアップ療法に対する反応差を検証




試験は、fluticasone 100μgを1日2回投与ではコントロール不良だった、6~17歳児182例。

対象児は、3つの盲検化されたステップアップ療法、すなわち「ICS増量」(fluticasone 250μgを1日2回)、「LABA追加」(fluticasone 100μg+長期作用型β作動薬50 μgを1日2回)、「LTRA追加」(fluticasone 100μgを1日2回+ロイコトリエン受容体遮断薬5mg/日もしくは10mg/日)を、無作為にオーダーされた順番で16週間ずつ計48週間受けた。使用された薬剤商品名はそれぞれ、fluticasoneは「Flovent Diskus」、長期作用型β作動薬は「Advair Diskus」、ロイコトリエン受容体遮断薬は「Singulair」である。

評価は、複合転帰[増悪、コントロールできた日数、1秒量(FEV1)]を指標に、それぞれのステップアップ療法間の反応差が25%以上となるかどうかが判定された。

「LABA追加」への反応が最も良さそうだったが……




反応差が確認されたのは、165例の患児のうち161例(P<0.001)だった。

反応が最も良かったのは「LABA追加」で、「LTRA追加」と比べて相対確率は1.6倍(P=0.004)、「ICS増量」とでは同1.7倍(P=0.002)だった。

また「LABA追加」への反応は、無作為化前の喘息コントロールスコア(基線でのコントロール良好)が高い患児ほど、反応が良さそうだった。

人種別の特性としては、白人の子の「LABA追加」への反応が最も良さそうだったこと、黒人の子の「LTRA追加」への反応が最も悪そうだったことが挙げられている。

しかし結論としてLemanske氏は、「「LABA追加」への反応が他の2療法よりも有意に高いようだったが、他の2療法の方が最良の反応だった患児も多かった。したがって、定期的モニタリングを欠かさず、患児に応じた最適なステップアップ療法を選択していく必要があることが強調されたと言える」とまとめている。

(医療ライター:武藤まき)