65歳以上の2型糖尿病治療薬rosiglitazone服用者は、ピオグリタゾン(商品名:アクトス)服用者と比べて、脳卒中・心不全・全死亡リスクが増大、急性心筋梗塞も加えた複合イベントリスクも増大することが明らかにされた。米国食品医薬品局(FDA)のDavid J. Graham氏らが、約23万人の米国高齢者向け公的医療保険メディケア加入者について調べ報告したもので、JAMA誌2010年7月28日号(オンライン版2010年6月28日号)で発表された。これまでの研究でも、rosiglitazoneの服用が、重篤な心血管疾患イベントの発生リスク増大につながる可能性が示唆されていた。
rosiglitazoneまたはピオグリタゾン服用者を最長3年間追跡
同研究グループは、65歳以上でメディケアに加入し、2006年7月~2009年6月の間にrosiglitazoneまたはピオグリタゾンの服用を開始した22万7,571人について、最長3年にわたり追跡した。被験者の平均年齢は、74.4歳だった。
エンドポイントは、急性心筋梗塞、脳卒中、心不全それぞれの発症と、総死亡、またそれらすべての複合イベントだった。
rosiglitazone服用者は脳卒中リスク1.27倍、心不全1.25倍
結果、追跡期間中のエンドポイントいずれかを発生した件数の合計は、8,667件だった。
rosiglitazone服用者のピオグリタゾン服用者に対する、イベント発生に関する補正後ハザード比は、脳卒中が1.27(95%信頼区間:1.12~1.45)、心不全が1.25(同:1.16~1.34)、死亡が1.14(同:1.05~1.24)、複合イベントは1.18(同:1.12~1.23)だった。急性心筋梗塞については、1.06(同:0.96~1.18)と、有意差はなかった。
また、ピオグリタゾン服用者に対するrosiglitazone服用者の、複合イベントの寄与リスクは1.68(95%信頼区間:1.27~2.08)イベント/100人・治療年だった。有害必要数は1年間で60(同:48~79)人への治療だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)