下肢表在性静脈血栓症にフォンダパリヌクスが有効

提供元:ケアネット

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公開日:2010/10/06

 



深部静脈血栓症や肺動脈塞栓症を併発していない、急性の症候性下肢表在性静脈血栓症患者への、抗凝固薬治療の有効性と安全性は確立していない。フランスINSERMのHerve Decousus氏ら研究グループは、フォンダパリヌクス(商品名:アリクストラ)の有効性と安全性について、約3,000例を対象とするプラセボ対照無作為化二重盲検試験「CALISTO」を行った。結果、1日1回2.5mg、45日間投与の有効性および安全性が認められたと報告している。NEJM誌2010年9月23日号より。

3,002例をフォンダパリヌクス群とプラセボ群に無作為に割り付け




CALISTO(Comparison of Arixtra in Lower Limb Superficial Vein Thrombosis with Placebo)試験では、3,002例の患者(18歳以上、所見5cm以上)を対象に、フォンダパリヌクス2.5mgを1日1回皮下注、もしくはプラセボを、45日間投与するよう無作為に割り付け行われた。

主要有効性アウトカムは、47日時点での複合アウトカム(全死因死亡・症候性肺動脈塞栓症・症候性深部静脈血栓症・症候性大伏在静脈-大腿静脈接合部への進展・症候性表在性静脈血栓症の再発)で、また主要な安全性アウトカムは、大出血とし検討された。

被験者は、77日目まで追跡された。

死亡率以外はフォンダパリヌクス群で有意に減少




主要有効性アウトカムの発生は、フォンダパリヌクス群(1,502例)13例(0.9%)、プラセボ群(1500例)88例(5.9%)で、フォンダパリヌクス群の相対リスク減少率は85%(95%信頼区間:74~92、P<0.001)だった。

各有効性アウトカムの発生は、死亡(両群とも0.1%)を除いて、フォンダパリヌクス群の方がプラセボ群より有意に低かった。肺動脈塞栓症または深部静脈血栓症は、フォンダパリヌクス群の方がプラセボ群より85%低かった(0.2%対1.3%、95%信頼区間:50~95、P<0.001)。同等のリスク減少は77日時点でも認められた。

肺動脈塞栓症または深部静脈血栓症1例を予防するのに必要とした治療症例数(NNT)は、88例だった。

大出血は各群で1例ずつ認められた。重大な有害事象の発生率は、フォンダパリヌクス群0.7%、プラセボ群1.1%であった。

以上を踏まえ研究グループは、フォンダパリヌクス1日1回2.5mgの45日間投与は、急性の症候性下肢表在性静脈血栓症患者の治療に有効であり、重大な副作用も認められなかったと結論づけた。

(朝田哲明:医療ライター)