発作性・持続性心房細動既往歴のある患者に対し、オメガ(ω)-3脂肪酸を24週間投与しても、6ヵ月間の心房細動の再発リスクは減少しないことが示された。米国・ペンシルベニアのLankenau Institute for Medical Research循環器疾患部門のPeter R. Kowey氏らが、663人を対象に、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2010年12月1日号(オンライン版11月15日号)で発表した。これまでに示唆されている、ω-3脂肪酸の心房細動に対する治療効果と安全性に関するデータは、小規模試験からの発表だったという。
症候性心房細動663人を2群に分け、6ヵ月間追跡
Kowey氏らは、2006年11月~2009年7月、症候性心房細動の患者663人について試験を行った。被験者の平均年齢は60.5歳、56%が男性、542人が発作性心房細動、121人が持続性心房細動だった。
被験者を無作為に2群に分け、一方には、ω-3脂肪酸(当初7日間は8g/日、その後24週間までは4g/日)を投与した。もう一方の群には、プラセボを投与した。
主要エンドポイントは発作性心房細動の症候性再発であり、副次エンドポイントは持続性心房細動の症候性再発と、発作性・持続性両グループの症候性再発だった。
発作性・持続性ともに心房細動再発率に両群で有意差なし
結果、主要エンドポイントである、発作性心房細動群のうち症候性心房細動の再発または心房粗動がみられたのは、プラセボ群269人中129人(48%)に対し、ω-3群258人中135人(52%)であり、両群に有意差は認められなかった(ハザード比:1.15、95%信頼区間:0.90~1.46、p=0.26)。
また副次エンドポイントでも、持続性心房細動群のうち症候性心房細動の再発がみられたのは、プラセボ群18人(33%)に対し、ω-3群32人(50%)と、両群に有意差は認められず(ハザード比:1.64、同:0.92~2.92、p=0.09)、発作性・持続性両群の症候性心房細動の再発も、ω-3群とプラセボ群で有意差は認められなかった(ハザード比:1.22、同:0.98~1.52、p=0.08)。
有害作用のために服用を中止したのは、プラセボ群の5%に対しω-3群の4%で、いずれも低く、また両者に差はなかった。
4週と24週時点で測定した、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の血中濃度は、ω-3群の方がプラセボ群より有意に高かった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)