軽症慢性収縮性心不全へのエプレレノン追加投与、死亡・入院リスクを約4割低減

提供元:ケアネット

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公開日:2011/01/19

 



軽症の慢性収縮性心不全患者に対し、エプレレノン(本邦では「セララ錠」として高血圧症のみ適応)を従来の治療に加え投与すると、心血管系疾患死または心不全による入院リスクが4割近く低減することが、無作為化プラセボ対照二重盲検試験「EMPHASIS-HF」試験グループにより示された。これまで、重症の慢性収縮性心不全や心筋梗塞後の心不全患者への追加投与については、同リスクが低減することは明らかになっていた。NEJM誌2011年1月6日号(オンライン版2010年11月14日号)掲載より。

NYHA心機能分類II、駆出率35%以下の2,737例を無作為化し追跡




EMPHASIS-HF(Eplerenone in Mild Patients Hospitalization and Survival Study in Heart Failure)試験は、NYHA心機能分類クラスIIで、駆出率35%以下の2,737例を対象に行われた。

被験者を無作為に二群に分け、従来の推奨治療に加えて、一方にはエプレレノン(1日最大50mg)を、もう一方にはプラセボを投与した。主要転帰は、心血管系疾患死と心不全による入院の複合イベントとした。

被験者の平均年齢は、エプレレノンが68.7歳、プラセボ群が68.6歳、女性はそれぞれ22.7%と21.9%、左室駆出率はそれぞれ平均26.2%と26.1%だった。

主要転帰はエプレレノン群で0.63倍、死亡は0.76倍




本試験は、あらかじめ設定した基準に達したため当初予定よりも早期に終了となり、追跡期間中央値21ヵ月の時点で試験中止となった。

同期間中、主要転帰の発生率は、プラセボ群が25.9%に対し、エプレレノン群が18.3%だった(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.54~0.74、p<0.001)。

死亡は、プラセボ群の15.5%に対し、エプレレノン群は12.5%だった(ハザード比:0.76、同:0.62~0.93、p=0.008)。また心血管系疾患死も、プラセボ群が13.5%に対し、エプレレノン群が10.8%だった(ハザード比:0.76、同:0.61~0.94、p=0.01)。

心不全または原因を問わない入院の割合も、エプレレノン群で有意に低率だった。

安全性に関して、血清カリウム値が5.5mmol/Lを超えていたのは、エプレレノン群が11.8%、プラセボ群は7.2%であった(p<0.001)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)